――自分がベストの投球をするために、他の選手のことで一喜一憂するのはやめたと。先輩たち同士もあまり馴れ合いはしていなかったのでしょうか?
吉見 野手の人たちはそうでしたね。「井端(弘和)さんと荒木(雅博)さんは仲が悪い」という噂が出たことさえありました。実際に仲は悪くないですし、以前は仲が良かったそうですが、お互いにレギュラーになってからは一切話をしなくなったと井端さんからお聞きしました。
投手は仲が良くて一緒に行動していたんです。でも、谷繁さんは「お前ら、マウンドに立ったら1人だろ」といつも言ってました。
――選手たちが群れずに、個々人で力を発揮していたから、落合監督時代のドラゴンズは強かったのかもしれませんね。
吉見 そうですね。僕も井端さんや谷繁さんから何か言われたり、見て学んだりしたことはたくさんありました。先輩たちを見ていたから、僕もついていけたんだと思います。
――その後、吉見さんの年齢が上がるにつれて後輩も増えたと思います。下の世代の選手との付き合い方はいかがでしたか?
吉見 大野雄大は自分から一緒に自主トレに誘いました。投げているボールはすごかったのに、お酒が入ったらちゃらんぽらんになる。このまま放っておいたら人生を損すると思ったので、こちらから誘いました。彼も自分と同じようにケガを経験してプロ入りしていたし、同じ京都出身というのも大きかったですね。
また、柳(裕也)からはお願いされて一緒に自主トレをしています。落合さんに教えてもらった青木さんの攻め方は、柳には伝えました。可愛い後輩ですし、頑張ってもらいたかったので。
ただ、「自主トレを一緒にしたから仲良くしてくれるんだ」と思われるのも嫌で、二人ともシーズンに入ってからはまったく会話しませんでした。「どうしてこんなに冷たくされるんだろう?」と思われていたでしょうね。
退任発表の日、チームは…
――11年9月22日に突然、落合監督の退任が発表されました。吉見さんはどう感じられましたか?
吉見 今だから言えますが、「なんでこんなタイミングで発表するの⁉」と球団に対して思いました。しかも、僕、あの日の先発だったんですよ。試合前に練習していたら、ナゴヤドームのビジョンに監督退任のニュースが流れて「えっ、嘘!」と……。
でも、「落合監督を男にしてシーズンを終えよう」と思ったら、その日はめちゃくちゃ調子が悪かったのに7回1失点で勝つことができた。結果的に、僕にとっては復活する良いきっかけになったと思います(笑)。