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《大滝詠一に責められても…》「歌のなかでくらい、いい思いをさせてあげたい」松田聖子曲の作詞時にもブレなかった松本隆の“創作信念”

《大滝詠一に責められても…》「歌のなかでくらい、いい思いをさせてあげたい」松田聖子曲の作詞時にもブレなかった松本隆の“創作信念”

『松本隆のことばの力』より #2

2021/11/05
note
『白いパラソル』(曲/財津和夫、1981年発売)

 風を切るディンギーで

 さらってもいいのよ

 少し翳ある瞳

 とても素敵だわ

 

 

(『白いパラソル』)

詞はライフスタイル

 細野さんと作った『ガラスの林檎』(1983年発売)は、ボーカル松田聖子版のはっぴいえんどだと思っている。

『ガラスの林檎』(曲/細野晴臣、1983年発売)

 愛しているのよ

 かすかなつぶやき

 聞こえない振りしてるあなたの

 指を噛んだ

 

 眼を閉じてあなたの腕の中

 せつなさも紅を注してゆくわ

 ガラスの林檎たち

 ガラスの林檎たち

 

(『ガラスの林檎』)

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 ぼくの場合、詞は生き方だ。詞が、松本のライフスタイルそのものだと言われたことがある。急に歌謡曲を書き出したり、クラシックに詞を付けたり、時代時代で異質なことをやっているようでも、ぶれていないという自信がある。

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