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県外の方を2名推薦し、外の空気を入れることに

「阿部さんにアドバイスをいただきながら、第三者委員会のメンバーについても話し合いを続けました。おかげで、それまで停滞していたお願いごとがスムーズに進むようになったんです」(恵子さん)

 また、既存の第三者委員会の5人は、全員が山梨県内在住だった。

「こうした案件では外の空気を入れたほうがいいと感じたので、私の方から県外の方を2名推薦しました」(阿部氏)

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 その後、教育委員会内で適正に審査した結果、第三者委員会の5人のメンバーのうち、2人が県外の識者に入れ替わった。恵子さんは次のように言う。

「私は地域そのものが信用できない。外から人を連れてきてくれた阿部さんには本当に感謝しています」

 新しい布陣で再スタートを切った第三者委員会は、2021年8月20日、夏休みの最中だったが、まみさんに対するいじめに関する報告書の概要を中間報告として公表した。

 その中で「どけ」「死ね」などの暴言、無視や仲間はずれ、ボールをぶつけて笑うなどの行為がいじめであったと認定し、当時の学校や市教委の対応を「不十分だった」と批判した。

©iStock.com

いじめのきっかけを作った大人たち 

 そもそもいじめられるきっかけは、どこにあったのか。恵子さんも首をかしげる。

「今になって思うと、どうやらはじめからターゲットにされていたのだと思います」

 南相馬から引っ越して間もなく、まみさんは地域の剣道サークルに誘われた。週に2~3回、放課後に体育館に集まり汗を流す。教えるのは地域の保護者たちだ。恵子さんも剣道の経験があったので、「やってみたら」と娘の背中を押した。

「まみ本人もやりたいというので、楽しみにしていたのですが、入会した翌月の試合に出場させられたのです。当然負けちゃうんだけど、そこで同じチームの同級生に『なにやってんだよ』みたいなひどいヤジを飛ばされて、これってどういうことだろうと、思っていたんです」(恵子さん)

 後日、サークルの懇親会の席で、恵子さんはチームのリーダー格の男性から信じられない言葉を投げつけられた。

「お酒が入って、みんないい気分のところ、その男性から『あんたも剣道の経験があるなら、参加してみないか』って誘われたんです。でも高校以来ずっと体を動かしてないから、私は観戦だけにしておきますって、断ったんです。そしたら『そっか津波で防具も流されたんだな』って笑いだして。それがあまりに配慮がない言い方で、思わずムッとしてしまった」(恵子さん)