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近鉄OB・礒部公一さんが語る、楽天が先に優勝し、オリックスがなかなか優勝できなかった理由

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/14

 オリックス・バファローズファンの皆さん、こんにちは。元大阪近鉄バファローズOBの礒部公一です。

 オリックス25年ぶりのリーグ優勝、おめでとうございます。

オリックス、25年ぶり日本シリーズ進出 優勝旗と場内一周

 25年間、色々な事がありました。2005年。私達の故郷である近鉄バファローズが消滅した年。球界再編問題の際は、私は近鉄バファローズの選手会会長としてオーナー側と対峙し交渉する立場にありました。

 近鉄とオリックスの合併が正式に決まり、その後新球団東北楽天ゴールデンイーグルスが誕生。オリックスと楽天による分配ドラフトが行われました。

 当時オリックスへと行った選手と楽天の選手を比べると、選手個々の能力は、明らかにオリックスの方が上。ただオリックスと近鉄という2つのチームが1つになった新生オリックス・バファローズの方が、両チームの伝統や考え方の違いもあり選手や現場の戸惑いが大きかったんじゃないかと、外から見ていて思いました。

 一方イーグルスは、ゼロからのスタート。寄せ集めの球団でしたけど今からみんなで球団を創っていく。そういう気概はあったので、よいスタートは切れたんじゃないかと思っています。

オリックスと楽天の違いはどこにあったのか

 新球団創設から9年、リーグ優勝そして日本一を成し遂げた楽天。一方、2005年の近鉄との球団合併以降、オリックスはAクラス2回のみ。両者の違いはどこにあったのでしょうか?

 2013年の楽天は僕もコーチで在籍していました。球団創設時の選手が入れ替わり生え抜きが育ってきた状況で、田中将大の24連勝はもちろん、AJ、マギーと外国人補強が上手く行ったりと戦力的には整っていましたから、なんら不思議でない優勝でした。

 また対オリックスとして考えたとき、球界再編の中で産み落とされた楽天の創設メンバーは、オリックスには負けたくない、絶対に先に優勝してやろう、という秘めた思いを少なからず持っていました。

 オリックスの長期低迷は、合併と直接の因果関係はない、と思います。当然、合併直後はチームをまとめる苦労があったでしょう、それも見据えてオリックスは(近鉄とオリックスを両方知る)仰木監督にチームを任せたのだと思います。しかし、長期にわたるBクラス低迷は、その後の選手育成や補強、チームマネジメントの失敗の積み重ねだった、と言えるでしょう。

 生え抜きがしっかり育ってきて絶対的エースがいる……今年のオリックスの優勝は2013年の楽天の優勝に似ていますよね。山本由伸という絶対的エースがいて抑えも平野佳寿が戻ってきた。野手は杉本裕太郎、宗佑磨、紅林弘太郎……と若い新戦力がレギュラーとして台頭してきたこと。そして、それをしっかりと起用し続けた中嶋聡監督。

 2年目19歳の紅林も、後半戦見違えるようになりましたよね。ショートは守備がしっかりしていれば今後も使い続けられますし、打撃に関しては年数を重ねていけば絶対によくなっていきますから、今後数年楽しみな戦力です。選手コーチとして複数球団を経験し二軍監督も経験。そして強かった頃のオリックスのDNAを引き継いでいる中嶋監督だからこそ、25年ぶりのリーグ優勝へとチームを導けたのでないでしょうか?