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1億7000万円の一戸建てを一括購入、週末はグアム旅行が定番…“兜町の証券マン”が“新大久保の個室ビデオ店員”になって思うこと

『今日、ホームレスになった 大不況転落編』より #2

2021/11/06
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 収入もサラリーマンの月給より1桁多かった。歩合でやっているから月によって変動があったけど多いときは月380万円とか400万円の給料だったんだよ。社長の年収が3000万円ぐらいだったとき、こっちは5000万円近い稼ぎがあったもの。よく外務員仲間と言っていたよ、「空から銭が落ちてくる」ってさ。

 これだけ金が入ってくると生活が派手に、贅沢になっていきました。板橋のマンションを売って広尾に一戸建ての家を買ったんだ、1億7000万円だったけど全額キャッシュで払いました。1億、2億なんてすぐに用意できる金額だった。

月80万円ソープで使う人も

 遊びもメチャクチャだったよ。週末になると外務員仲間と銀座のクラブやバーに繰り出していたけど、1軒の支払いが60万円とか70万円だった。高い店ばかり選んで奢り、奢られで4、5軒ハシゴするんだ。

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 月末には他社の親しい外務員たちで慰安旅行です。熱海、石和、伊香保なんかへ行ってコンパニオンと乱痴気騒ぎだった。そのうちグアムが定番になって、金曜日の前場で仕事を終えると飛行機に乗ってグアム島へ。2日遊んで月曜日に帰ってきたらそのまま兜町に直行して仕事するなんて具合です。よくあれだけ遊べたと思うよ。俺は女遊びはやらなかったけど若いやつにはソープにハマったのがいて、1日置きに吉原に通っていた。お前、いくら使ってるんだって聞いたら月80万円ぐらいですなんて言ってやがった。

妻が高校の同級生と浮気

 元号が昭和から平成に変わった頃が俺のピークだったな。外務員として売買の注文を取るより自分の金を増やすことに力を入れていました。

 取引所に出入りしていたからいろんな情報が入ってくるんです。仕手筋がどこそこの株を買い漁っているとか、何とか工業の役員が自社株を30万株も買ったから何か裏があるみたいだって具合だよ。そういう情報を仕入れて、じゃあ俺も一丁噛ませてもらいましょうってことです。今じゃインサイダー取引だって問題になるけど昔は緩かったんだ。大手の営業マンだって平気で同じことをやっていたよ。

 広尾の家を担保にして信用金庫から1億5000万円借りて10銘柄ほどいじってみたんだ。仕入れた株は半年で2億円に値上がりしていた。結果的には自己売買にのめり込んだのがいけなかったんだけどね。

 離婚したのは平成になってすぐでした。女房のやつ、浮気してやがったんだよ。

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