台風のニュースでおなじみの地名
私が旅しているのは沖縄県の南大東島(南大東村)だ。台風が発生したときに「南大東島の沖約1●●キロの海上を……」といったニュースで耳にするので、地名だけはご存知の人も多いかもしれない。
南大東島の面積は30.52平方km、山手線の内側面積の約半分弱だ。2017年3月時点での島民人口は1277人(655世帯)である。沖縄本島の約360キロ東方の海上にあり、さらに北に8キロ隔てた北大東島、南に160キロ離れた沖大東島(無人島)の3島で「大東諸島」を構成している。
沖縄県内の他地域(琉球諸島)とは違って、南大東島は約6000万年前にパプアニューギニア沖でその原型が生まれて以来、他の陸地と接続したことがない。島はサンゴ礁が盛りあがった堆積石灰岩で形成され、沖縄名物のビーチはみられない。周囲は水深数千メートルに達する深い海である。
第二次大戦中に米軍が上陸してこなかったのも、沿岸部が岩場で作戦展開が大変だったので諦めたから、という話さえある。もっとも、海中ではハワイ近海の魚がみられるらしく、ダイビングの超上級者の間ではひそかに人気があるらしい。
訪問のハードルが高い島
大阪府から島内の男性に嫁いで在所の資料館(後述)で働いている、1歳と2歳の子どもがいる奥さんはこう話す。
「島の女性の妊婦健診や出産のときは沖縄本島に行きますねー。行政から補助も出るんです。あと、島内には高校がないので、大部分の子どもは中学校を卒業すると沖縄本島に進学していますね」
県庁所在地の那覇から南大東島へのアクセスは飛行機で約1時間、もしくは船で13時間。もちろん飛行機のほうが便利だが、私が買ったチケットは往復で3万3000円もかかった(島民は2万円くらい)。
いずれにせよ、沖縄旅行のついでに気軽に遊びに行くにはハードルが高い島である。