11月1日、プロ野球レギュラーシーズンの全日程が終了した。セ・リーグは前年最下位のヤクルトスワローズが“下克上優勝”を決めた一方、6月中旬には最大で2位と7ゲーム差をつけた阪神タイガースがその後“大失速”し、2位に沈んだ。なぜ阪神は16年ぶりのリーグ優勝を逃したのか。そして、来年こそ悲願を果たすために足りない要素は何なのか。野球解説者でタイガースOBの江本孟紀氏に余すことなく聞いた。(全2回の1回目/2回目を読む)
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最大の敗因は「打てなかったこと」
勝負どころの9月以降の追い上げがすさまじかったヤクルト。それに追いつくことができなかった阪神。
私が考える阪神の最大の敗因は「打てなかったこと」に尽きる。たしかに守備や走塁面でも挙げようと思えばいくらでも挙げられるかもしれないが、シーズンを通じて中軸がコンスタントに活躍しなかったことが大きいと考えている。
たとえば4番を打つことが多かった大山悠輔の昨年と今季の打撃成績を比較してみると、
(20年)116試合出場 打率2割8分8厘、28本塁打、85打点
(21年)129試合出場 打率2割6分、21本塁打、71打点
試合出場数が増えているにもかかわらず、昨季よりも成績が下がっている。
終盤では大山を4番から外すようになったが、来年は開幕時点から彼を4番や中軸に据えるのは考え直したほうがいい。
昨季は「阪神の4番としての顔」になりつつあったが、今年は前年とは打って変わって停滞する時期が長く続いた。彼は4番や中軸よりも6~7番あたりに置いてリラックスして打たせたほうがよいのではないかと私は見ている。
大山というのは不思議な打者で、4番に置こうが、7番に置こうが、試合のなかで必ずと言っていいほど得点圏にランナーを置いて打順が回ってくる。そういう宿命にある打者とも言えるが、しかしチャンスの割に、期待通りに塁上の走者をホームに返すという場面が少なすぎる。