毎年多くの仮装した若者が訪れ、カオスと化す渋谷のハロウィーン。今年の10月31日は日曜日であると同時に、緊急事態宣言が明け、東京都が飲食店に出していた営業時間の時短要請も解除された直後の週末でもあることから渋谷センター街ではこれまで以上に警戒感が高まっている。渋谷区の長谷部健区長は、10月21日に行った記者会見で、ハロウィーンの際には渋谷には来訪せず、「なるべく自宅で楽しんでほしい」「(渋谷に来る場合は)モラルをもって行動してほしい」と呼びかけた。

 ところが、ハロウィーン前日の30日土曜の夜には、早くもセンター街に人が溢れ、DJポリスが出動するなどあちこちでトラブルが発生した(#2)。夜が深まると人出は若干少なくなったものの、案の定“混乱”は続いたのだった。

うる星やつらのコスプレをした2人組女性 ©文藝春秋 撮影・細尾直人
寒そうな姿で街を徘徊する男性 ©文藝春秋 撮影・細尾直人

 

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 10月30日夜、渋谷周辺では赤灯を廻した多くの警察車両が配置されていた。センター街周辺では等間隔に民間セキュリティ会社の警備員が配置され、若者に注意して回っていた。地元の飲食店店主が明かす。

「2019年のハロウィーンでは1億円の予算が投じられたにも関わらず、混乱は全く収まらず散々の結果だったため、警備会社は随分と叩かれた。今年も区は多額の予算を組んでおり、警備会社としてはメンツもかかっている。警備員の方々からは今まで以上の必死さが伝わってきました。嫌がる女の子を強引にナンパしようとする“輩”を止めたり、センター街で立ち止まっている者がいれば、すぐに動くよう声をかけたりしていました。それでも移動しようとしない若者には、ウザがられても拡声器で何度も注意をしていました」

警察も出動 ©文藝春秋 撮影・細尾直人
警察の姿もあちこちで見かけた ©文藝春秋 撮影・細尾直人
男たちに声をかけられる女性 ©文藝春秋 撮影・上田康太郎

 それでも一部の若者たちは深夜になっても渋谷を離れることはなかった。出会いを求めナンパにあけくれる男性や、過激な露出のコスプレをした女性など、様々な人の姿が目に付いた。