今年もハロウィーンの季節がやってきた。毎年多くの仮装した若者で大混乱する渋谷。コロナ禍の真っただ中で迎えた昨年のハロウィーンの様子を文春オンラインは伝えたが、当時は、区の”自粛要請”もどこ吹く風で、一部の若者がセンター街にコスプレ姿で集結し、”バカ騒ぎ”をする様子が見られた。
渋谷区の長谷部健区長は、今年10月21日に行った記者会見で「(ハロウィーンは)なるべく自宅で楽しんでほしい」「(渋谷に来る場合は)モラルをもって行動してほしい」などと昨年に引き続き“自粛”を呼びかけた。しかし、10月29日、取材班が現地を訪れたところ、渋谷のハロウィーンはやっぱり「昔のまま」なのだった……。
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10月29日(金)の夕方。緊急事態宣言が明けた週末の渋谷は、人こそ多いものの、ハロウィーンのために「仮装」してきている人は少なかった。ときおり制服を着た女子高生が、光ったり、デビルの角がついたカチューシャを着用している様子が見られる程度だった。むしろ、ハロウィーンの様子を伝えようとする報道陣の方が目立った。
19時、徐々に人が増えつつある渋谷センター街の入り口で、不安そうに街の変化を見ていたのは、渋谷センター商店街振興組合理事長の小野寿幸さん(80)だ。小野さんは、ハロウィーンの時にコスプレして渋谷にやってくる若者たちを「変態仮装行列」と表現。毎年、節度のない若者の迷惑行為に悩まされてきた。
「まず、私らが被る害としては、ゴミ問題が大きいです。トイレの中に、捨てられたコスチュームが散乱していたり、毎年大迷惑です。あとはサンプルケースを割られたり、ビルの間に小さいのも大きいのも用を足すとかね。もうメチャクチャなんです。彼らが節度ある行動をしてくれるのであれば区も商店街もウェルカムです。だけど、あの暴れ方では、『渋谷には来ないで』と言うしかない。
ファミリー層のおじいちゃんや子供たちも本当はハロウィーンの時に街で買い物をしたり、食事をしたいと思うんだけど、暴れる人たちがいると、そういうファミリー層が来られなくなる。私たち商店街はそれを懸念している。(変態仮装行列は)ここ8年毎年続いています。何故こうなったのか私たちもわからないんですよ」
取材中、小野さんを見つけた若者2人組が、路上喫煙が禁止されているにも関わらず、見せつけるようにライターを着火し、小野さんの前でタバコを吸いだす瞬間があった。小野さんはすぐに「路上喫煙禁止! ノースモーキング!」と注意したが、男性は「殴ってみろよ」と挑発。すぐに区のスタッフが制止に入り、場は収まったが、こうしたトラブルは「もはや当たり前の光景」であるという。