今年も多くの仮装した若者が訪れることが予想されていた渋谷のハロウィーン。10月31日は緊急事態宣言が明け、東京都が飲食店に出していた営業時間の時短要請も解除された直後の週末でもあることから渋谷区の長谷部健区長は、10月21日に行った記者会見で、ハロウィーンの際には渋谷には来訪せず、「なるべく自宅で楽しんでほしい」「(渋谷に来る場合は)モラルをもって行動してほしい」と呼びかけた。
だが、区長の声は若者たちには届かず、渋谷センター街は29日の金曜日(#1)、30日の土曜日(#2、#3)と、両日ともカオスと化した。
31日のハロウィーン当日も道に溢れるほどの数の若者が夕方から集まりドンチャン騒ぎを繰り返していた。この日は衆議院議員選挙の投開票日でもあった。投票率は戦後3番目に低い55.93%だったが、コスプレをして渋谷で大騒ぎする若者たちに「選挙に行ったか」聞くと意外な“若者たちのリアル”が浮かび上がってきた。彼らの声と共にハロウィーン当日の夜をレポートする。
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10月31日のハロウィーン当日、東京では昼前から雨が強まりはじめ、SNS上では「ハロウィーン無理じゃん」「ざまぁwww」といった声で溢れた。
16時、それでも徐々に仮装した若者たちが集まりはじめ、雨があがった18時には、渋谷は仮装した若者で埋めつくされた。この時間にはDJポリスをはじめ警察官も集合し、前日と同様に民間警備会社の警備員もいたる箇所に配置された。
警察官や警備員が群れる若者に立ち止まらないよう注意を促していたが、彼らはなかなか話を聞こうとしなかった。注意されたらその場は立ち去るものの、場所を変えてはまた同じように集まり、写真撮影を楽しんでいた。相変わらず「ナンパ」をする仮装した男の姿もみられた。地元飲食店オーナーが嘆く。
「最近のハロウィーンナンパの傾向としては、写真を一緒に撮ってからインスタを聞き、交流をとるパターンが多いですね。コロナで出会いに飢えている若者も多いのでしょう。あと今年はスマホを片手に生配信している若者も多く、配信を見てさらに人が集まっているようです。ユーチューバーが喜んで渋谷にくるから、そのユーチューバーにインタビューされたくて渋谷に来る子もいる。悪循環に陥っています」