愛知県警本部のお膝元、名古屋市・中区丸の内。昼間はビジネスマンが行き交う街で、高級マンションの一室に住んでいた柴田健太容疑者(29)が10月、愛知県警に住居侵入と窃盗の疑いで逮捕された。
柴田容疑者は、窃盗団に「金のある家を教える」“情報屋”だった。現場の実行犯が逮捕されることはあるが、情報屋そのものの摘発は珍しいという。(全2回の1回め/#2を読む)
情報を売るだけで大金に…「情報屋」とは?
「柴田容疑者は実行犯たちと共謀して、昨年11月に中区のマンションの一室に侵入し、現金200万円や指輪が入った金庫、計495万円相当を盗んだ疑いがもたれています。
実行犯の3人は今年8月に既に逮捕され、柴田容疑者は被害者女性の部屋に金があるという情報を実行犯の1人に流していました。その見返りに、盗んだ金額の半分を受け取っていたようです」(全国紙社会部記者)
情報を売るだけで大金を得ていた情報屋とは、何者なのか。窃盗団の元関係者が語る。
「今の時代、何の情報もなしに空き巣に入るのは、現場にとってリスクでしかありません。コンビニのATMで金は簡単に引き出せますし、入ったところで1万円も見つからないことがほとんど。あえていうなら独身男性は乱雑に金を置いていることもありますが、金を持っているファミリー層のマンションに現金があることは滅多にない。だから確実に金を持っている家を狙う必要があり、そのために情報屋の存在は不可欠なんです。
情報屋は現場に行かないので逮捕リスクが低く、窃盗団も無駄な空き巣を減らせる。お互いにwin-winなんです。情報屋が誰かは、現場にも知らされないことが多いですが、自分が知る範囲では、半グレがほとんどですね」
情報屋は2000年前後に中国系窃盗団を中心に首都圏で流行した手口で、日本人の半グレ窃盗団の間でも広まったのは、この10年ほどのことだという。