客に『いい儲け話がある』と持ちかけていたガールズバー経営者
情報屋はどのように現金の額や家主の不在を見定めているのだろうか。神奈川県警の元刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はこう語る。
「私が知っている情報屋には、ガールズバーの共同経営者という人がいました。窃盗団の話は伏せたうえで、客に『いい儲け話があるんだけど、現金で動かせる金がある人はいないか』と聞き回っていたようです。被害者の知り合いから情報が抜けているケースが多く、逮捕後に犯人を調べると、知り合いの知り合いが被害者だったということもあります。
ただ窃盗団に直接情報を売るケースは少なく、間にブローカーを噛ませるため、情報屋まで警察が辿り着くことは難しい。犯人を捕まえ、ブローカーを任意で引っ張っても、『あの家が金を持っているという話はこの辺りでは有名ですよ』などと言われれば、追及ができません。またブローカーを複数挟んでいる場合は、情報屋が誰かを本当に知らないので、取り調べてもわからないんです。情報屋は本当に人を信頼しないので、リスク管理は徹底しています。
ただ、ブローカーを通さずに直接、窃盗団に情報を売る方が儲けは大きいので『何回やっても捕まらない。やっぱり俺は天才だな』などと油断し、現場に接触した際に逮捕されるのがほとんどです」
リスクも大きいがリターンも大きい“反社”宅
情報屋から売られる情報には非合法活動で得た大金がある“反社”宅も多いのだという。前出の窃盗団の元関係者が語る。
「狙われる被害者も、銀行に預けられないような金を持っている人が多いです。具体的には、“クスリ”で得たヤクザの金や、闇スロの売上金などですね。彼らも現金を運ぶ人間を日によって替えて警戒はしていますし、リスクも大きいですが、その分リターンも大きいんです」
なかには、ヤクザを専門にする窃盗団もいるのだという。
被害者は、あまりに正確に不在の時間や金の置き場所を把握しているため、まずは身内を疑うというが、逮捕されてみれば犯人が「全く顔を知らない人」だったというケースも多いという。
「情報屋が、ヤクザの身内からネタを仕入れているのでしょう。この場合も、結局間に複数のブローカーを挟んでいるので、最後まで誰が“ネタ元”だったかはわかりません。