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 そんな感じで師匠はよく相談を受けてましたし、またこれはと見込んだ芸人を美弥に連れてきたりしました。それだとやはり一番はビートたけしさんでしょうか。

「セント・ルイスなんざ敵じゃない。ケタが違う。こいつは売れる」

 そして実際その通りになりました。世界の北野武にまでなりましたからね。

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爆笑問題に「お前ら天下とっちゃえ」

「俺は人の才能を見る目がある」

 確かにそうだったと思います。さすがに僕もたけしさんには間に合いませんでしたが、爆笑問題さんには間に合ってます。爆笑問題さんも美弥に連れてきたんですよね。

「漫才、やってみな」

「ここでですかっ?」

 爆笑問題さんの二人が驚き、そして緊張しまくった漫才を僕は幸運にも見ることが出来て、面白い面白くない以前にやりづらかっただろうなぁ~っていうのがヒシヒシと伝わってきた漫才でした。だって本当にすぐ手の届く目の前に談志ですもん。

 そん時ですよ。師匠がお二人に言ったのは。

「お前ら天下とっちゃえ。だけどこの小さいの(田中さん)は絶対に切るな」

 そして、それからの爆笑問題さんの快進撃は周知の事実。

©️文藝春秋

 たけしさんも爆笑問題さんも漫才で人気があって知られてはいたけど、まだテレビでブレイクする前のことです。

「誰に何を言われてもやり続けろ」

 そしてもう一人。師匠の死後ですがブレイクした方がいます、世界的に。

 それはピコ太郎さん。PPAP。古坂大魔王さん。

 ピコ太郎さんは『爆笑オンエアバトル』で師匠に認められたんですよね。

 師匠が美弥に連れてきた時、背が高いなぁ~って見上げたのをおぼえてます。

 それでピコ太郎さん。その『爆笑オンエアバトル』で音楽ネタをやったら、みんなはダメって言ったんだけど師匠だけが評価したんだそうです。

 その時のコメントです。

「ぱーっとやって、ぱーっと終わる感じがいい。イリュージョンだった。ワケがわかんないけれど、自由にやるのがいいんだよ。誰もやっていないのがお前の才能。誰に何を言われてもやり続けろ」

 その後、師匠は独演会にピコ太郎さんを呼んだりしてましたけど、それでもブレイクはならず、しばらくして師匠から、

「遊んでいるか」

 と一言だけ書いた葉書が届いたそうです。

 師匠はそうやってズッと気にかけてくれる人でした、本当に。