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「こんなの思ってたんと違う!」記憶と精神を仮想世界へアップロード…“デジタル大霊界”の暮らしとは?

2021/11/07
 

 俳優の丹波哲郎が総監督を務める映画『大霊界』が公開された当時、小学生だった私の世代はその話題で持ち切りだった。未知の“死後の世界”に空想を掻き立てられ、誰もがワクワクしたものだ。

 あれから30年余り。霊界をSFコメディとして描くドラマ『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』(Amazonプライムで配信中)が人気を集めている。舞台は近未来のアメリカ。人間は死後、記憶と精神の全データをデジタル空間に作られた仮想世界へアップロードすることで擬似的に“不死”を達成している。肉体を失ってもクラウド上で永遠に生きられるのだ。

 主人公のネイサンはドラマ開始10分足らずで交通事故に遭遇。重体で意識が朦朧とする中、デジタル大霊界行きを決断する。そうと決まれば話は早い。アップロード用の装置に乗せられ、ネイサンの記憶と精神のデータをスキャンするのだが……。

「ギャー!!」

 恋人と母親が見守る前で、なんとネイサンの頭部が丸ごと焼失! あまりに呆気ないお別れに言葉を失う……。

 かくしてネイサンは仮想空間の“あの世リゾート”で、他の死者たちと日常生活を送ることになる。湖畔に面した心地よいホテルで思い思いに過ごし、料理も食べ放題。死後の世界と現実世界はデジタルで繋がり、生きている人とスマホで通話したり、VRゴーグルを使用して“あの世”で会ったりすることもできる。

©佐々木健一

 だが、あの世リゾートはあくまで企業の事業サービスで、ビジネスだ。何をするにも課金は付き物で、支払う金額に応じてリゾート地のグレードにも差がある。低所得者向けのエリアはデータ通信量が制限され、余分なものが何もない独房のような部屋。死後の世界にも、資本主義や格差社会が影を落としているのだ。こんなの思ってたんと違う!!

 デジタル大霊界は天国か、それとも地獄か。笑いの中に痛烈な皮肉が込められている。

INFORMATION

『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』
https://www.amazon.co.jp/dp/B08BYZ2CV6

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