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 つまり、センサーなどでダイレクトに人の動きを検知したうえで、段階的にホーンやウインカーによって周囲にアラートを発したり、窓やエアコンを自律的に操作したりといった機能がなければ、ユーロNCAPにおいて高評価を得ることが難しくなるのである。欧州市場に適合させるうえで、国内メーカーがこの点をなおざりにするとは考えにくい。

 しかし、技術的にセンサー方式への移行を実現したとして、問題として残るのは、これが普及価格帯の国内車種にも標準搭載されるかどうか、という点である。ドアロジック方式でも普及が進んでいない国内市場において、より高度なシステムが積極的に導入されるかは疑わしい。

導入による価格上昇を抑えられるか

 消費者側としても、平均所得に見合わず新車価格ばかりが上昇するなか、さらなる価格アップの要因となる新技術の搭載を歓迎しない声は大きいと考えられる。しかもその技術が、「車内放置」というごく限られた場面でしか機能しないとなればなおさらだろう。「そんなもの、保護者が十分注意すればいいだけではないか」と考える向きもあるかもしれない。

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 しかし、現在搭載が義務化されている自動ブレーキも、一部では「ドライバーが十分注意すれば不要」と言われていた技術である。ところが当然、「人間の注意力」は万能ではなく、つねにエラーの可能性はある。事故防止の観点から言えば、注意力を自己責任の問題に帰すのではなく、可能な限り技術による補助を加えることが望ましい。

 コストの面でも、技術の普及にともなう量産効果により、上昇分は抑えられるはずである。たとえばトヨタの先進運転システム「Toyota Safety Sense」は、自動ブレーキに加えてレーダークルーズコントロール、車線逸脱防止や自動ハイビームなど複合的な予防安全機能を備えるシステムであるが、2020年に発売したヤリスを見ると、同システムの有無による価格差はわずか6万円に抑えられている。カメラやセンサーといったハードウェアを流用しながら、ソフトウェア側の制御によって複数の機能に対応させることが、コストダウンの肝になっているのである。

課題は「車両のソフトウェア制御」

 センサー方式のCPDを標準装備とし、かつ車両価格の上昇を抑えるうえでも、「ハードウェアの流用」と「ソフトウェアによる制御」が鍵を握るだろう。

 つまり、CPDを単なる付加機能として扱うのではなく、ドライバーモニタリングや生体認証、緊急通報といった一連のシステムのうちに組み入れるわけである。ちょうど、PCやスマートフォンのOSに対するアプリケーションのように、一元的な制御システムによって実行される多様な機能の一つとして、CPDを捉える必要があるのだ。