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「すでに“オジサンたちのモノ”になりつつある…」急拡大する日本のフェムテックに“足りない視点”

「すでに“オジサンたちのモノ”になりつつある…」急拡大する日本のフェムテックに“足りない視点”

2021/10/22

「フェムテック」とは「Female+Technology」を掛け合わせた言葉で、女性の健康をテクノロジーでサポートするソフトウェアや医療、プロダクトやサービスを示す経済用語だ。2016年、「Clue」という月経周期を記録するアプリを開発したデンマーク人女性Ida Tinが名付けた。

フェムテック市場への参入が急増

 フェムテックが含むものは幅広い。生理用品、出産後の骨盤底筋を鍛えるグッズ、定期的な授乳のためのアプリ、性的健康を促進するプレジャーグッズといったものから、生殖医療までもがマーケットの一端を担っている。

 これまでなかったわけではないが、「フェムテック」と名付けられることで、市場としての価値が可視化された。男性投資家や経営者には「見えなかった」分野でもあり、まるで新しく「発見」されたかのように、2020年あたりから「乗り遅れるな!」とばかりに参入を急ぐ日本企業が増加している。

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北原みのりさん。女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表を務める

 国際的なブームの背景にある要因は、女性経営者と女性技術者の台頭だろう。あらゆるサービスや技術開発、医療の現場で“健康な”男性の身体が“人間”の基準にされてきた歴史は長い。月経や更年期に関して、女性のQOLをテクノロジーによって高めていこうという視点がそもそも欠けていたのだ。

 そういうなか、ジェンダー平等を促進させてきたヨーロッパの国々を中心に、女性たちが当事者としてスタートアップさせてきたのが、フェムテックの原点だ。

 近年、#MeToo運動など女性の人権意識の高まりを背景に、セクシュアルヘルスに関心を持つ女性が急増していることも、フェムテック市場の拡大につながっている。

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