平井氏周辺の取材をして感じた「自民党の底力」
初めて平井氏周辺の取材をして感じたことは、「自民党の底力」だった。それは巷間よく言われる組織・団体票の厚みという面もあるし、「今が変わってほしくないから自民党」という空気もあった。さらに国会議員よりも地元の有権者に近い県議会議員や市議会議員の多くが自民党、という側面もある。
だから私は小川が8時に当確を出し、完勝したことに驚いたのだ。最終的に20,000票近い差をつける圧勝であり(前回は2,183票差の負け)、今回の選挙で小川に集まった期待値の大きさと、「脅し発言」や「NTT接待問題」によって平井氏に対して向けられた厳しい目が、その差となって表れたのだろう。
かつてない盛り上がりを見せた小川陣営の草の根選挙
演説に集まってくる人たちも、両陣営は好対照だった。平井氏の陣営には、黒いスーツを着た男性が圧倒的に多く、企業団体選挙とはこういうものか、ということを教えてくれた。選挙戦最終盤の10月28日に岸田文雄首相が応援演説に訪れたときには、大きなホールに2,500人を集めた(陣営発表)。小川の集会にこれだけの人数が集まったことはないだろう。香川県知事や高松市長、有力県議らも駆けつけ、平井氏を後押しした。
一方、小川陣営の草の根選挙は、かつてない盛り上がりを見せた。スーツ姿の人はほとんどおらず、女性たちの姿が目立った。昔から小川を支えるボランティアの面々に加え、今回から参加した地元のママさん有志の方々(パパさんもいる)は、選挙事務所にありがちな「必勝」などと書かれた為書を横の壁に追いやり、正面の壁に一般の人々が小川に期待を寄せる声をカラフルな紙に記して貼りだした。選挙事務所に気軽に遊びに来てもらいたい、という狙いだった。小川の活動を動画と文章で連日発信するSNSチームの存在、インスタグラムは名のある写真家やデザイナーが手弁当で手掛け、これまでにない選挙戦となった。
特筆すべきは、県外から数多くのボランティアが馳せ参じたこと。1泊2日だけ手伝うという人もいれば、公示日から投開票日まで13日間通しで参加する猛者もいた。そうした熱の伝導は、やがて「祭り」と化していった。