平井卓也候補が「市中央商店街をパレード」?
私はその日の四国新聞に載っていた平井候補の予定に注目していた。「30日は2カ所で演説会を行うほか、市中央商店街をパレードする」。
さりげなく書かれている「パレード」という言葉。これが気になった。練り歩きではなくパレード。四国新聞の社長は平井候補の弟が務め、社主は母親。つまり平井一族がメディアを持つ。その四国新聞がわざわざ書く「パレード」とはどんな状況なのか。18時30分ごろから予定されているという。これは見ておかねば。
その前に小川候補が18時から琴電瓦町駅前で街頭演説するというので一旦そちらへ。駅前は聴衆で埋まり歩道橋からも見ている人が多く熱気がすごい。この場所ではジャーナリストの津田大介さんと、ライターの和田靜香さんとバッタリ。和田さんは小川候補と語り合った本「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」が話題だ。ここの演説で小川候補ははっきりと「勝ちます」と言った。相当の手ごたえがあるようだ。
そんななか、いよいよ平井候補のパレードの時間が迫ってくる。小川候補と別れて中央商店街へ。すると風に乗って演説が聞こえてくるではないか。
「デジタルが…」「デジタルの…」
間違いない、平井候補だ!
「遂に平井卓也を捕獲へ」
心の中で号外が出た。アーケードを超えて丸亀町の交差点(今朝小川候補にあった場所)に出ると、その人が街頭演説をしていた。
平井候補は「人にやさしいデジタル」「格差を生まないデジタル」「困っている人を助けるデジタル」など、多いときは3秒に1回ぐらいの割合で演説にデジタルという言葉を入れていた。M-1グランプリのネタでとにかくボケ数を多く入れてくるのを思い出した。
しかし繁華街の交差点で演説しているのに聞いている人は少ない。でも確かに人はいる。これってなんだろう。私はからくりに気づいてしまった。信号が赤のときだと足を止めているから演説を「聞いている」ように見えるのだ。しかし青になると動き出すから人が消える。私はこのあとに控える「パレード」という四国新聞の文字が不穏に思えてきた。
演説が終わって遂にスタートした平井候補の「パレード」。しかしここでも人は少なかった。火曜に公開したコラムでも先行して触れたが、とにかく人が寄ってこない。
平井候補と黄色いジャンパーを着たスタッフ軍団の「大名行列」を遠巻きに見る人たち。歌舞伎町にあらわれた見回り隊のおじさんにも酷似していた。この不思議な「パレード」がどうなるのか気になって着いていったのだが、関係者以外で一緒に移動していたのは私たちだけ。その結果、私は「平井軍団」の一員のようになっていたのである。
お店の人たちもあまり出てこなかった。たまに出てきたおばちゃんには「先生久しぶりねぇ、10年ぶり?」と言われていた。