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5000人の居住者のうち半数以上が外国人…埼玉の“憧れの住宅地”に数多くの“中国人”が押し寄せた現状を徹底ルポ

『日本の異国』より #2

2021/11/16

東南アジア、韓国、そしていま中国人

 客はひっきりなしだ。近所のレストランだろう、調味料やら麺やらを大量に買っていく人、お菓子の棚に夢中になっているのはOL風の中国人のお姉さんたち。ソムニさんは流暢な中国語で対応し、なにごとか笑いあう。ラオス華僑なのである。だからこそ時代の変化に対応できたのだろう。

「昔はタイ人がよく来たけど、もうほとんどいないね」

 西川口には韓国人も多い。いまも中国人に次いで川口市内で2番目の外国人人口を持つ。しかし大きなコリアンタウンをつくってはいない。そうした街は東上野や新大久保、三河島など各所にあるが、西川口ではきわめて小規模だ。韓国レストランやパブなどもあるがわずかで、しかもその数は減少している。いまの主役はやはり中国人だ。

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風俗街の無残なる夢のあと

 ところで西川口の、とくに西口を歩いていると、どうしたって目につくのは劣情を煽るいやらしい看板である。エロマッサージ、ガールズバー、メンズエステ……ソープランドの密集する一角もあって、なかなか壮観である。

 が、これ、実は無残なる夢のあと。2003~05年あたりに行われた警察の大浄化作戦によって一挙に摘発され、数が激減した風俗店の名残なのである。

 それ以前は、ほとんど無法地帯であったという。「NK流」なる流派で知られる街だったのだとか。NKとはもちろん西川口の隠語である。往時の西川口にはズバリ本番行為のできるピンサロがびっしりと軒を連ね(もちろん違法)、その数200とも300とも語られた。

 ピンサロ=ピンクサロンとは、恥ずかしながら説明すればちっともサロンではなく、お手々とお口によるサービスの施設である。日本の風俗の中では格安だろう。しかし、いわゆる本番行為、セックスそのものは禁止なのである。「じゃあソープならいいのかよ」というと、アレは“風呂に浸かりに来た客と、入浴介助をしているお姉さんとが、束の間つい恋に落ちてしまった”という体裁なのである。なんと自由恋愛という名目の上に成り立っている店なのである。くだらない話だが本当で、そういうタテマエで警察から営業許可をいただいているのである。