超広角はiPhoneの圧勝。Pixelの「ウルトラワイド」はいまいち
さて、そんな両製品の最大の特徴であり売りとなるのは、やはりカメラということになるでしょう。この両製品は、いずれも超広角、広角、望遠という3つのレンズを備えていますが、実際に試用してみると、その性格は大きく異なっていることがわかります。
まず超広角。狭い室内などで、圧倒的に広い範囲を1画面に収められるのが超広角の大きなメリットですが、iPhoneが0.5倍と広い範囲を写せるのに対し、Pixelは0.7倍と、広角レンズ(1倍)との差はあまりなく、新鮮な驚きは正直ありません。
Pixelは以前紹介した「Pixel 5a(5G)」も、0.6倍という微妙な倍率だったのですが、今回は0.7倍と、さらにスペックダウンしています(超広角ではなく「ウルトラワイド」という表現を使っているのも、このせいかもしれません)。より広い範囲を撮影できることにこだわるならば、iPhoneのほうが圧倒的に有利です。
望遠はPixelの圧勝。2倍/4倍のワンタッチ切替が使いやすい
望遠側はどうでしょうか。iPhoneは、従来のiPhone 12 Pro Maxは望遠が2.5倍(iPhone 12 Proは2倍)だったのが、今回のiPhone 13 Pro Maxでは、望遠が3倍になっています。
光学2.5倍→3倍になったと言われると、より性能が上がったように感じますが、望遠は高倍率であればあるほど使いやすいわけではありません。例えば、広角レンズだと被写体に影がかぶってしまうので、少し離れて望遠レンズを使って撮る……といった、多くの人が行っているであろう望遠の使い方は、「ちょっとだけズーム」のほうが便利です。
そうした用途では、この光学3倍ズームというのはむしろ倍率が高すぎて、あまり使い勝手がよくありません。個人的には、以前の光学2.5倍ズームですら使いづらく、光学2倍に戻ってくれることを期待していたので、この点はむしろマイナスです。
もっとも風景写真などで、離れたところからズームで撮る機会が多い人は、倍率は高ければ高いほどよく、この3倍ズームは大歓迎という人もいるでしょう。そうした意味で、評価が分かれそうなポイントです。
一方のPixelはどうでしょうか。Pixelは光学4倍レンズに加えて、光学2倍での撮影にも対応します。つまりiPhoneが「3倍」一択なのに対して、Pixelは「2倍」「4倍」を切り替えて使えるわけです。これならば幅広い用途にも対応できますし、切り替えはファインダー上でタップするだけと、使い勝手にも優れています。
さらに「デジタルズームも併用する」という条件を追加するとどうでしょうか。Pixelは光学4倍とデジタルズーム5倍を掛け合わせて、最大20倍の望遠が可能です。これはiPhoneで光学3倍とデジタルズーム5倍を併用することで実現できる最大15倍の望遠を上回っています。
またPixel独自の超解像ズームにより、細かいディテールもしっかりと捉えられます。こうした点も踏まえて考えると、望遠系はPixelの圧勝というのが筆者の評価です。