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最新フラッグシップスマホ、使って分かった意外な違いとは?《「Pixel 6 Pro」と「iPhone 13 Pro Max」のカメラ機能の違いをチェック》

2021/11/12
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超広角はiPhoneの圧勝。Pixelの「ウルトラワイド」はいまいち

 さて、そんな両製品の最大の特徴であり売りとなるのは、やはりカメラということになるでしょう。この両製品は、いずれも超広角、広角、望遠という3つのレンズを備えていますが、実際に試用してみると、その性格は大きく異なっていることがわかります。

両製品とも3つのレンズを搭載。iPhone(左)は左寄せにまとまっているのに対し、Pixel(右)は横一列に並んでいます

 まず超広角。狭い室内などで、圧倒的に広い範囲を1画面に収められるのが超広角の大きなメリットですが、iPhoneが0.5倍と広い範囲を写せるのに対し、Pixelは0.7倍と、広角レンズ(1倍)との差はあまりなく、新鮮な驚きは正直ありません。

 Pixelは以前紹介した「Pixel 5a(5G)」も、0.6倍という微妙な倍率だったのですが、今回は0.7倍と、さらにスペックダウンしています(超広角ではなく「ウルトラワイド」という表現を使っているのも、このせいかもしれません)。より広い範囲を撮影できることにこだわるならば、iPhoneのほうが圧倒的に有利です。

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iPhoneの超広角では、4体がすべて収まりますが…
Pixelだと同じ距離から撮影して3体収めるのが限界です
海ほたるパーキングエリアのモニュメント。iPhoneだと全景が収まりますが…
同じ位置から撮影した場合、Pixelは全景が収まらず、地面が切れてしまいます

望遠はPixelの圧勝。2倍/4倍のワンタッチ切替が使いやすい

 望遠側はどうでしょうか。iPhoneは、従来のiPhone 12 Pro Maxは望遠が2.5倍(iPhone 12 Proは2倍)だったのが、今回のiPhone 13 Pro Maxでは、望遠が3倍になっています。

 光学2.5倍→3倍になったと言われると、より性能が上がったように感じますが、望遠は高倍率であればあるほど使いやすいわけではありません。例えば、広角レンズだと被写体に影がかぶってしまうので、少し離れて望遠レンズを使って撮る……といった、多くの人が行っているであろう望遠の使い方は、「ちょっとだけズーム」のほうが便利です。

 そうした用途では、この光学3倍ズームというのはむしろ倍率が高すぎて、あまり使い勝手がよくありません。個人的には、以前の光学2.5倍ズームですら使いづらく、光学2倍に戻ってくれることを期待していたので、この点はむしろマイナスです。

 もっとも風景写真などで、離れたところからズームで撮る機会が多い人は、倍率は高ければ高いほどよく、この3倍ズームは大歓迎という人もいるでしょう。そうした意味で、評価が分かれそうなポイントです。

左が今回のiPhone 13 Pro Max、右がiPhone 12 Pro Max。これまで光学2.5倍だったのが3倍に変更されています

 一方のPixelはどうでしょうか。Pixelは光学4倍レンズに加えて、光学2倍での撮影にも対応します。つまりiPhoneが「3倍」一択なのに対して、Pixelは「2倍」「4倍」を切り替えて使えるわけです。これならば幅広い用途にも対応できますし、切り替えはファインダー上でタップするだけと、使い勝手にも優れています。

左が今回のPixel 6 Pro、右がPixel 5a(5G)。望遠に4倍が追加されるとともに、色温度を調整できるスライダーも追加されています。その一方で前述のように超広角は0.7倍とややスペックダウンしています

 さらに「デジタルズームも併用する」という条件を追加するとどうでしょうか。Pixelは光学4倍とデジタルズーム5倍を掛け合わせて、最大20倍の望遠が可能です。これはiPhoneで光学3倍とデジタルズーム5倍を併用することで実現できる最大15倍の望遠を上回っています。

海ほたるパーキングエリア(千葉県木更津市)から、直線距離で約30kmある東京スカイツリー(東京都墨田区)を撮影してみます。これは広角レンズによる画像で、矢印の先に東京スカイツリーがあります
iPhoneの光学3倍×デジタル5倍の15倍ズームで撮影したところ。姿は問題なく捉えられますが、ややぼけています
Pixelの光学4倍×デジタル5倍の20倍ズームで撮影したところ。こちらはサイズがひとまわり大きいだけでなく、ディテールもよりくっきりしています

 またPixel独自の超解像ズームにより、細かいディテールもしっかりと捉えられます。こうした点も踏まえて考えると、望遠系はPixelの圧勝というのが筆者の評価です。