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新卒1年目で年収1000万円超、20代後半には2000万円超に…まだまだ強い、外資系企業の「リアルな給料」

2021/11/12
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 その後ヴァイス・プレジデント(課長クラス)になれば基本給だけで2000万円を超え、30代後半になるとボーナスに大きな差が出るため年収はバラバラになるものの、8000万円を超える人も少なくないという。そしてディレクター(部長クラス)になれば基本給だけで3000万円台、マネージング・ディレクター(執行役員・部門責任者)になれば基本給だけで4000万円台へと上がっていく。

社宅制度で家賃負担は半分、会社側にもメリットが

 基本給だけではなく、フリンジベネフィット(福利厚生)も大変恵まれている。日本国内で、外資系金融機関の若い社員が港区や千代田区の高級マンションに住んでいるのは社宅制度の恩恵という。

「家賃の本人負担は半分程度です。上限は地位によって上がりますが、若い社員でも25万円程度の負担で家賃50万円のマンションに住める。いいところに住めば、それだけの矜持も生まれます」(同前)

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 日本の税制では、会社が社員に対して無償で社宅を提供すれば家賃相当額が給与として課税される。しかし会社が社員から家賃相当額の50%以上を受け取っていれば、会社負担分は給与として課税されないため、会社側にもメリットがある。そしてこの規定には家賃の上限が明示されていないため、外資系は目一杯利用しているという。

「日本の企業がこの税制を最大限利用しない理由は、社員間で差がつくことを避けているためかもしれませんが、これだけで外資系と日本企業の待遇は数百万円の差が出るでしょう」(同前)

 それ以上に日本の金融機関との大きな違いは、ボーナスが個人の業績に完全に連動する上に、その額が大きくなるとボーナスを現金と自社株に分け、数年程度の分割払いにする「ディファード・ボーナス」の存在だという。

「会社としては分割払いにしてその間は優秀な人材を引き留めることができる。社員としては自社株を持ち、株価が上がれば自分の資産も増えるためモチベーションが高まる。若くして資産を持てる可能性があり、次の人生を考えることもできるのです」(元役員)