10月末に行われた総選挙に際し、自民党も立憲民主党も「賃上げ」や「所得の分配」を公約として大きく掲げた。この背景には、日本ではデフレが続いてきたとは言え、日本人の給料がほぼ20年にわたり上がっていないという問題がある。
この間、欧米諸国は毎年数%ずつ給料も物価も上がってきたため20年の間に大きく差が開いてしまった。中でもアメリカ、イギリス、ドイツなどで近年の平均年収の上昇率が高く、業種別でトップに君臨するのが「金融」だ。
この金融とは日本の銀行や証券会社とは異なり、ゴールドマン・サックス(アメリカ)とJPモルガン(アメリカ)に代表される、債券売買やM&A(企業買収)のアドバイザーに特化した投資銀行や、大口投資家の資金を運用するヘッジファンドなどを指している。
ゴールドマン・サックス証券やJPモルガン証券の基本給
これら欧米系金融機関は世界中にネットワークを築き、日本ではゴールドマン・サックス証券が六本木ヒルズ(港区)の最上階、JPモルガン証券も東京ビルディング(千代田区)の上層階と、一等地の高層ビルに拠点を構えている。
ここで働く社員の年収がどれだけ高いか、某トップクラスの投資銀行の元役員が明かしてくれた。なお、その基本給は本社でも各国の現地法人でもほぼ同じだという。
「ベース(基本給)は、大学新卒1年目で750万円、2年目で900万円、3年目で1000万円。これにボーナスが付くため年収は1年目で1000万円を超えます。外資系はパフォーマンス解雇(成績不振による解雇)のリスクがありますが、よほどのことがない限り3年間は解雇されません」(元役員)
4年目以降は昇進に差が出てくるが、順調に行けばアシスタント・ヴァイス・プレジデント(係長クラス)となり、1200万円→1350万円→1500万円→1590万円と上がる。ボーナスを加えれば20代後半に年収が2000万円を超えるという。