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ウールのニットはなぜ「縮む」? ホームクリーニングの「NG行為」ときれいに洗い上げるコツ《洗濯王子が直伝》

2021/11/19

ウールを洗う二つの方法

 ウールを縮ませずに洗うための一つ目の方法は、クリーニング屋さんでの「ドライクリーニング」。水ではなく「油」の中に専用の洗剤を入れ、専用の機械で洗います。

 油で洗う最大のメリットは、本来の色・艶・形を崩さずに洗えることです。トイレットペーパーでさえも、破れたり千切れたりせずに洗えてしまいます。ウールの場合もスケールが開かないので、ぐるぐる回して洗ってもフェルト化が起こらず縮みません。人前に出る時に着るニットなどは、やはりドライクリーニングをおすすめします。

 なお、洗濯機や洗剤に「ドライ」と書いてあることがありますが、水で洗うのでドライクリーニングではありません。ご注意ください。

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©iStock.com

 一方、家庭で洗濯する場合、水に濡らすことは避けられません。となると、もう一つの「揉み作用」をなくすことで縮みを防げます。これに最適な洗い方が「押し洗い」です。

 ウールのニット自体は極力動かさないようにし、上から手で押して圧力をかけるだけ。絶対に揉んだりこすったりせずに洗います。ぐるぐる回して機械力がかけられない分、汚れの落ち方も弱くなりますが、プライベート寄りで着るニットは家庭洗濯で押し洗いでもいいでしょう。

家庭でできる「押し洗い」

 まずは洗濯桶などに30℃以下のぬるま湯を入れ、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かして洗剤液を作ります。その中にニットを入れ、洗剤液に優しく沈めます。沈めた状態で動かさず3分ほどつけ置きます。これにより繊維を緩めて汚れを落とす準備をします。

 その後、優しく2分ほど押し洗い。絶対に揉んだりこすったりはNGです。

揉んだりこすったりせず、優しく「押し洗い」する。 ©中村祐一

 洗いが終わったら、洗濯機で30秒程度の脱水をします。脱水をすることで、洗剤で包み込んだ汚れをある程度、取り除けます。また、その後のすすぎがしやすくなるメリットもあります。縦型の洗濯機はそのままバランス良く置いて回せばOKですが、ドラム式の場合は洗濯機の中で動いてしまうので、ネットに入れて脱水するといいでしょう。