伊藤さんは高齢者を助ける「好青年だった」
警察の発表によると、「殺人罪で起訴された島田被告は指定暴力団・六代目山口組系の組員だった」という。『X』で従業員として働いていた被害者の伊藤竜成さんは、一体どんな人物だったのだろうか。
伊藤さんは事件当時、都内の小さなアパートに一人暮らしをしていた。近隣住民によると、「挨拶もしっかりしていて、近隣の高齢者にも重いものは運びますよと声をかけるような好青年」だったという。
「伊藤さんがこのアパートに住み始めたのは2015年末頃から。でも2、3ヶ月ほどで姿を見なくなりました。家賃も滞納していたようですし、大家さんが心配して部屋を覗こうとしたら、玄関ドアには鍵がかかっておらず開いていたそうです。部屋の中には布団もなかった。軽い敷物と紙袋1袋ぶんの荷物だけがあったそうです。
急に逃げ出すような子じゃないし、いつも夜になると川口のほうへ仕事に行っていたから、私たちもトラブルに巻き込まれたのかと心配していたんですよ。ほとんど家にも帰れないくらい、忙しかったのかもしれませんね」(近隣住民)
末端に身を置いていた“札付きグループ”
実は当時、伊藤さんは川口市で活動している“札付きグループ”の末端に身を置いていたという。2016年の伊藤さんへの暴行で逮捕された7人全員がこのグループの一員だった。事情を良く知る人物が語る。
「このグループのリーダー格だったのが、島田とAです。2人はお互いを“兄弟”と呼び合う仲だった。Aはハワイアンバー『X』のオーナーで、キャバクラや風俗店のためのスカウト会社も持っていた。後輩への当たりが強く、理不尽なことを結構言うんですよね。後輩らからは煙たがられていました。2人以外の他の逮捕者は当時20代の若者ばかりです。島田やAが指示を出し、亡くなった伊藤を含めた下の人間がそれをこなす、という主従関係がこのグループでははっきりしていました」
「グループは、日頃から犯罪行為に手を染め生計を立てていた」(同前)という。活動地域は埼玉を中心に、東京の下町エリアまで広がっていた。