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「短編集でも出さない限り、読切は…」“犬のさんぽ”マンガが異例の大公開で連載へ…「なぜいま動物マンガがウケるのか」

「短編集でも出さない限り、読切は…」“犬のさんぽ”マンガが異例の大公開で連載へ…「なぜいま動物マンガがウケるのか」

『今日のさんぽんた』田岡りきさんインタビュー #1

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 現在「ゲッサン」(小学館)で好評連載中の田岡りき『今日のさんぽんた』。もともとは「ゲッサン」に掲載された読切作品だったが、全ページをTwitterにアップして閲覧可能にしたところ、多数のユーザーからのリツイートおよび「いいね」がつき、連載されることになった。

 その後も、Twitterで毎週土曜日に4ページ、月刊誌「ゲッサン」で8~16ページがそれぞれ並行して連載が進められており、まさにSNSの利点をフルに活用した作品となっている。本作はなぜSNSでバズったのか。作者の田岡りきさんと、担当編集者へのインタビューから見えてきたものとは……。

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――『今日のさんぽんた』連載開始までの経緯をお教えください。

田岡 「ゲッサン」で『吾輩の部屋である』の連載が終了してから、『スクール×ツクール』(「ゲッサン」連載、作画:wogura)の原作をはじめました。それとは別に、自分が描くマンガも考えていたんですけど、ちょうどそのときに担当編集から「ゲッサン」で「しんみり泣ける読切シリーズ」を企画しているとの話がありました。それで『ラスト・さんぽ』(『今日のさんぽんた』1巻に「11歳3月 お別れ」として収録)を描くことになったんです。

SNSで大きな反響を呼んだ「今日のさんぽんた」と「これがいちばんしっくりきた」という“ポーズモデル”の柴犬フィギュア

――では、連載を予定していたパイロット版というわけではなく、完全に読切の予定だったわけですか?

田岡 そうですね。

編集 『ラスト・さんぽ』の評判はすごくよかったです。読者からだけではなく、僕が担当しているほかの作家さんたちからも「田岡先生の読切がすごくよかった」と好評でした。

 Twitterとの相性もよさそうに思えたので、そのまま全ページをアップしてもいいかどうか、と田岡先生に相談したんです。そこで話題になれば、あわよくば連載になるんじゃないか、と考えていました。

――1話まるまるアップするのは、最近でこそ単行本発売時などのキャンペーンとして多くなってきましたが、当時はまさに“さきがけ”の頃だと思います。田岡先生は読切の全ページをアップすることについては、どう感じましたか?

田岡 短編集でも出さない限り、読切はもう読んでもらうことができません。せっかく描いたので、いろいろな人に読んでもらいたいという気持ちはありました。だから(Twitterに)載せていいんだったら、ぜひ載せてください、と伝えました。