現在「ゲッサン」(小学館)で好評連載中の田岡りき『今日のさんぽんた』。もともとは「ゲッサン」に掲載された読切作品だったが、全ページをTwitterにアップして閲覧可能にしたところ、多数のユーザーからのリツイートおよび「いいね」がつき、連載されることになった。
その後も、Twitterで毎週土曜日に4ページ、月刊誌「ゲッサン」で8~16ページがそれぞれ並行して連載が進められており、まさにSNSの利点をフルに活用した作品となっている。本作はなぜSNSでバズったのか。作者の田岡りきさんと、担当編集者へのインタビューから見えてきたものとは……。
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――ちょっと根本的な話になりますが、なぜ犬モノにしようと思ったのでしょうか?
田岡 犬を描きたい……みたいな。僕、犬がめちゃくちゃ好きなんです。
――いちばんいい動機じゃないですか。
田岡 本当に、ただ単純に犬を描きたかったんです。実は『吾輩の部屋である』の前にも犬の読切を描いているんですけど、また犬を描きたくなっちゃって……。時系列を順不同にしたのも、いろいろな年齢の犬を描きたかった、というのもあります。まあ、柴犬は1歳くらいで成犬になるので、外見的にはあまり変わらないんですけどね。
――田岡先生もご実家で犬を飼われていたんですよね。
田岡 柴犬です。僕が大学を卒業して、上京したあたりで亡くなりましたが、小学校5年生の時から飼っていました。
「『犬欲』はすごくありますね。つねに犬をなでたい(笑)」
――1巻のあとがきにある「犬欲」という言葉がすごくしっくりきました。
田岡 「犬欲」はすごくありますね。つねに犬をなでたい……(笑)。こういう作品を描いているから、猫カフェの犬版みたいなものがあれば経費で行けるんじゃないかと思っていろいろ調べたんですけど、犬と触れあえるところが見つからなくて。
――猫みたいにはいかなかったんですね(笑)。ただ、たしかに最近は猫のように犬も屋内で飼う人が多くなっています。でも、ポン太は外飼いですよね。
田岡 そこは悩みました。確かに今だと「珍しいね」と思われるかもしれません。でも、うちは完全に外飼いでした。この作品には僕自身の体験も含まれるので、そういうところでも少し昔っぽさというか、ノスタルジーなテイストを出せればいいかなとは思っていて、それで今の形に着地しています。
――その部分はリアル路線から少し距離をとる一方で、『今日のさんぽんた』はポン太をゆるキャラや擬人化とかマスコットのような扱いをしていません。どちらかといえば、造形的にはリアル路線ですよね。
田岡 犬はリアルに描きたいですね。