クールなポン太がウケた理由は?
――読者から「ポン太がかわいい」という感想は来ますか?
田岡 多いですね。どんどん増えてきたように感じています。
――りえ子に対してつっけんどんというか、人間に対して媚びない「クールなキャラ」のポン太が読者に受け入れられた要因はどこでしょう?
田岡 うーん……、やっぱり犬だから……じゃないですかね? それが一番でかいと思います。「ちょっと冷たい言い方をしているけど憎からず思っているんだろうな」というのが見えているのかな、と解釈していますね。
――犬だからですか(笑)。本当に犬がお好きなんですね。こういうインタビューだと苦労話を聞きがちなんですけど……。
田岡 ポン太を描いているのは楽しいです。犬が描けて幸せです。
――伝わってきます。
田岡 ただ、いまは犬を飼っていないので、実物を頻繁に見られるわけではありません。人間だったら自分でポーズを取って作画の参考にできるんですけど、犬がこういうポーズを取ったときに別角度からはどう見えるんだろう、ということで悩みます。そこで時間がかかることもありますね。
――犬のクロッキー人形なんて聞いたことないですもんね。
田岡 もしかしたらあるのかもしれないですけど、ちょっと見たことないですね。意外と犬のポーズも尽きないものです。ネットで画像検索をしていろいろな角度を探すんですけど、想像で描くこともあります。
小ネタとポン太の“逆らってもしょうがないな”
――最後になりますが、「ここに注目してほしい!」というところがあれば、ぜひ教えて下さい。
田岡 細かいところでは、登場人物が着ているTシャツやパーカーの柄にもこだわって小ネタを仕込んでいるので、そういうところも見てほしいです。あとは、年齢によってポン太の振る舞いを意識的に変えています。若い頃はりえ子を引っ張ったり、自分本位に動いたりしているんですけど、老犬になるとあきらめ気味というか、「逆らってもしょうがないな」という意識があります。
――それは老犬という、体力的な問題というよりは、長年にわたるりえ子との関係性の結果でしょうか。
田岡 そうですね。そういうところを見てもらえたら面白いかな、と思います。
写真=文藝春秋