――りえ子は理屈っぽくないですもんね。
田岡 ポン太に話しかけて、ポン太の反応を勝手に解釈して、勝手にまた話を続ける。でも、犬には犬の都合があって、ポン太はまったく違うことを考えている。そのすれ違いですね。
――シチュエーション・コメディみたいな印象があります。
田岡 僕は大学時代に、たとえば「ヨーロッパ企画」などの劇団を見るようになったんですけど、その影響で海外のシットコムも好んで見るようになりました。その時期から、描くマンガもそっち方面に進んだように思います。
ポン太はかなり「散歩優等生」
――1巻の作者コメントを見ると、散歩中にネタを考えることが多いのでしょうか?
田岡 歩きながら考えたことや見たことなどを作品に入れています。散歩は好きですね。実家にいる頃は、犬の散歩は僕の役目でしたから。朝6時に起きて、通学前に行くのが日課だったんです。
――ポン太は、かなり「散歩優等生」だと思います。
田岡 確かに。変な方向に行こうとしないし、いきなり吠えたりもしません。それは、多少は脚色もありますけど、うちの犬の晩年がそんな感じで。本当によその犬を無視するんですよ。
――それはすごいですね。
田岡 お前はそれでいいのか、と。
――(笑)。ご自身の経験がベースになっていることが多いのでしょうか?
田岡 老犬には悟っているような感じがあって、それを間近で見ていたことがポン太のキャラクターに活かされていると思います。
気に入っている回は…
――田岡先生が個人的に気に入っている回は?
田岡 夜中にコンビニに行く話(「10歳6月 用心棒」1巻収録)が好きです。
――ポン太が報われる話ですね。
田岡 なんだろう、そのへんにカタルシスがあるのかな……(笑)。僕自身は、ポン太抜きでも成立するような話が結構好きだったりします。
――たとえば?
田岡 英単語の話(「10歳10月 英単語」3巻収録)は相当気に入っています。りえ子がただ英単語を覚えようとしているだけで、ポン太はとくにいる必要がない。あとは、小学校のプールが汚いという話(「9歳6月 プール」3巻収録)。自分で描いていて「これは来た!」と思いました(笑)。
――読者の反応が可視化されやすい環境での連載です。読者の反応は、どういったところを見ますか?
田岡 リツイート数と「いいね」数は目安にしています。やっぱりポン太が何らかのアクションを起こす回は「いいね」がつきやすいですね。