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生活保護受給者は“テキトーに生きてきたんだろ”とSNSで…取材で見えてきた「医療現場でのフクザツなまなざし」

「ビターエンドロール」作者・佐倉旬さんインタビュー #2

2021/11/18
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「その人が、そうなってしまったのはなぜ?」

――今、連載が続いている中ではありますが、「ビターエンドロール」全体を通して社会に伝えたいメッセージは?

佐倉 それ、私は先に真並さんに喋ってもらいたい。

真並 私自身は今のところ幸運に、健康に働けている立場の人間なんですけれど、でも周りや自分の身内を見る中で、何か病気や怪我で躓いたり、世間でいうマイノリティ側になった時、生きるのが大変だということは感じていて。何とかしないといけないって思いながらも、じゃあ自分が日々、何ができるのかはよく分からない、と思っている人って、私を含めて多いと思います。

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 作品に共通して、当事者の方のことだけでなく、常に周りの人達の理解が必要なこと、周りは何ができるか、という点も取り入れているので、考えるきっかけになっていく本になっていけばいいな、と思いながら作っています。

佐倉 私は、怒っている人達、社会的に声を上げている人達のことを、今までは傍から見ているだけに近かった。今回、自分自身も見つめる契機になる本が出せて良かったと思っています。なんにでも怒っているし、これからも怒って描いていたい。

 他人の状況や人生に、思いを馳せる感じですかね。もし、何か困った状況に在る人をみた時、「その人の問題だから」で済ますのではなく、「その個人がそうなってしまったのはなんでなんだろう?」という問いかけを、なるべく丁寧に積み重ねていきたいです。

「医療ソーシャルワーカー」の存在は、調べる中で知ったと話す佐倉氏・真並氏。ふたりの言葉には、他者への真摯な愛情に裏付けられた怒りと、社会への切実な願いが籠る。

 続く#3では、「ビターエンドロール」2話を特別公開する。

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