これまで色々なチャレンジをしてきましたが、振り返ってみると、自分のキャリアの中で一気通貫して持っている思いがあるように感じています。“ベタ”に思われるかもしれませんが、結局のところ「世のため人のためになるような事業を作っていきたい。そうした事業に携わりたい」ということです。そう考えるようになったきっかけは祖父にあります。
祖父は赤十字社で働く医師でしたが、クリスチャンの非常に厳格な人で、私は幼少のころから「人のためになることをしなさい」と繰り返し言われて育ちました。だからビジネスにおいても、自分の原点は「人のためにする」というところにあるのです。
M字曲線を描く日本の女性就労比率
それを実現しようとした際に、キーワードとなるのが「コミュニティ」です。結果的に実現はしませんでしたが、1度目の起業の時、はじめにイメージしていたのは、共働き夫婦を支援する検索エンジンをつくる、という事業でした。
日本では、女性の就労比率がM字曲線を描くと言います。出産や育児のためにキャリアをいったん中断せざるをえない女性がまだまだ多いわけです。その問題をインターネットとそれに付随して生まれるコミュニティの力で解決できないかと考えていました。
例えば、リタイアした高齢者の方で、近所の子どもを安く預かってもいいよ、という人と、ベビーシッターを雇いたいけど、そんなにお金がないというような人たちをマッチングさせる。検索サービスを使ってそういうコミュニティを作ることができれば、まだまだ働きたいのに仕事がないという高齢者のためにも、子どもを預けて働きたい親御さんのためにもなると思ったのです。