来年1月の箱根駅伝では、赤と黒のユニフォームが再び旋風を巻き起こすかもしれない。そんな予感が少しずつ高まってきた。

 10月の出雲駅伝は新鋭の東京国際大が初出場初優勝。11月の全日本大学駅伝は、駒澤大と青山学院大が前半出遅れながらも後半に巻き返し、最後の2区間で激しいつばぜり合い。最後は大接戦を駒澤大が制し、2連覇を果たした。

 混戦予想に“超・戦国時代”などとも言われていたが、箱根の前哨戦として全日本を見ると、なんとなく駒澤大と青山学院大の2校が抜けだしたような印象もあった。

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立て直す力が備わった國學院大

 そんななか、少し後方に目を向けると、出雲、全日本ともに4位と、両駅伝で着実にタスキをつないだチームがあった。それが、赤と黒のユニフォームをまとった國學院大だ。

急成長したルーキーの平林(左)と2年生の伊地知 ©文藝春秋

 駅伝では、しばしば「駅伝力」などという言葉が使われる。

 前走者が振るわなかった際に、その“悪い流れを引き継がない”ことや、もしくは上位でタスキを受けた際に、その勢いを途切れさせずさらに“勢いづけるような走り”ができる力などを指す。

 國學院大は、派手さはなかったかもしれないが、まさに駅伝力を備えた選手が増えてきた印象がある。順位変動が大きかったように、多少のミスがあっても、立て直す力が備わっていたのだ。特に、全日本では5区を終えた時点で10位に落ちながらも、最後は4位まで這い上がって見せた。

エースの藤木は不調からの復活が待たれる ©文藝春秋

躍進の象徴は、ルーキーの平林清澄

 2年前のシーズンは、出雲駅伝で初優勝、箱根駅伝でも過去最高の3位に食い込む健闘を見せ、國學院大旋風が吹き荒れた。だが、この活躍は、土方英和(現・Honda)、浦野雄平(現・富士通)、青木祐人(現・トヨタ自動車)ら、当時の4年生の存在が際立っていたため、翌年に、大きく戦力ダウンするのも仕方がないことだった。それでも、箱根で9位と連続シード権を死守したことは、チーム力が付いた証でもあった。昨今の箱根駅伝で、シード権を維持し続けるのは簡単なことではない。

 前田康弘監督は、昨シーズンから“2年計画”で強化を進めてきていたが、その思惑通りに再び上位争いを繰り広げられる力を付けてきた。

 躍進の象徴は、ルーキーの平林清澄だ。

出雲駅伝でアンカーを務めた平林は熱中症になりながらも粘りの走り ©文藝春秋

 1年生ながら、出雲では最長区間の6区10.2km、全日本でも2番目に長い7区17.6kmを任されており、その期待度の高さが窺えた。