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平林と伊地知の成長が、今季のチームに勢いをもたらしている

 平林は高校2年生でインターハイの5000mに出場したが、予選落ち。全国高校駅伝や都道府県駅伝にも出場しているが、区間2桁順位どまりだった。高校時代に全国大会の出場実績はあるものの、全国区ではとりわけ目立った存在ではなかった。

 それが、國學院大に入学し急成長。入学早々にトラックの10000mや5000mで自己新記録を連発。過去のエースたちと共に、國學院大歴代で上位10傑に名前を連ねるほどの好記録を叩き出した。

 そして、ひと夏を越えて、駅伝でも存在感を示している。

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 出雲は終盤にバテて順位を落としたものの、タスキを受けて勢いよく飛び出し、14秒差あった東洋大を一気に追い抜いた場面は印象的だった。

11月に行われた全日本大学駅伝は駒大が2連覇 ©文藝春秋

 全日本の7区でも、駒澤大の田澤廉(3年)、青山学院大の近藤幸太郎(3年)の両校の大エースにはさすがに及ばなかったが、その2人に次ぐ区間3位と好走。シード権争いをしていたチームを安全圏にまで引き上げた。

 今季の國學院大は、2年前の出雲の優勝メンバーである藤木宏太(4年)、中西大翔(3年)がエースだが、夏のケガもあって駅伝シーズンに入ってもまだまだ本調子ではない。平林はそのダブルエースの不調を補う走りを見せてきた。

 また、前回の箱根駅伝に1年生で唯一出場した伊地知賢造(2年)もブレイク中だ。出雲は5区2位と好走。全日本では最長区間の8区で3人を抜き、区間賞の活躍を見せた。次期エース候補である平林と伊地知の成長が、今季のチームに勢いをもたらしている。

全日本大学駅伝のアンカーで区間賞を獲得した伊地知 ©文藝春秋

國學院大の“箱根男”

 さらに、3年時から主将を務める木付琳(4年)、今年の日本学生ハーフマラソン選手権3位の島﨑慎愛(4年)も安定感を増し、チームの軸となっている。

 箱根で國學院大がダークホースとなるかもしれない、もう1つの理由が“箱根男”の存在だ。

島崎は昨年の箱根では山下りの6区で好走したが… ©文藝春秋

 その“箱根男”とは、4年生の殿地琢朗だ。

 殿地が箱根駅伝以外の大学三大駅伝を走ったのは3年時の全日本だけなのに、箱根となると3年連続で出場中だ。

「12月になると、調子が上がってくるんですよね。“ミスター12月”の称号を与えたいくらい」

 以前、前田監督は殿地についてこんなことを言っていたが、1、2年時の頃は、12月に入るまでは箱根のメンバーの構想外だったという。ところが、12月に入ると、するすると調子を上げ、1年目から出場にこぎつけた。

 1年時は8区12位だったが、2年時はアンカーを任されると、2人を抜いて、4校による熾烈な3位争いをも制した。