またもや迷ってしまいそうな町並みに…
すると、ガードをくぐってすぐにまた急な坂が待ち受けている。道筋はどれもカーブしていて、うかつに歩いていると迷ってしまうことは東口と変わらない。路地に入って横浜線に沿うように東に進んでいくと、ここでも急な坂が出迎えてくれる。
つまり、菊名駅は東西南北どこをとっても、急な坂やくねくねした路地のような細い道ばかりなのだ。菊名駅そのものは低地にあり、北西側に向かっては坂がなく低地が広がる。この低地は新横浜駅の近くを流れる鶴見川沿いの低地で、高台は下末吉台地の一部にあたる。下末吉台地が鶴見川によって削られた、そんな場所に菊名駅があるのだ。
あれ、こんな駅みたことあるぞ…?
十字に東横線とJRの横浜線が通る坂の下の駅で、周りは急坂とカーブだらけの細い道。まるでこれは、どこかにそっくりではないか。そう、渋谷である。渋谷駅も東急の電車やJR線が谷の下に集まっていて、駅の周りにはまっすぐな道ではなくうねうねカーブした路地が四方八方に伸びている。うかつに歩いていると迷うのも、菊名駅とそっくりだ。
もちろん、菊名駅の方が低地部分が狭いし、駅の規模だってまったく違う。ヒカリエもスクランブルスクエアもない。が、急な坂に囲まれた狭い土地に町を作ると、くねくねした道ばかりにならざるを得ないし(まっすぐの道で坂を登ろうとすると急すぎて大変である)、駅前に大通りや大きな広場を設けるのが難しいというのはこの菊名駅に来れば実感できる。
渋谷駅は“ダンジョン”などと呼ばれてその難解さが話題になることが多いが、これは急な坂に囲まれた谷間にあれだけ大きな町を作ったのだから仕方がない。むしろ、渋谷駅は充分わかりやすくしようと頑張っている方なのではないか。そんなことを、菊名駅にやってきて感じたのであった。
横浜アリーナに行くときは…
ちなみに、「菊名駅に行くよ」という話を担当の編集K氏にしたところ、「横浜アリーナに行くときに、検索したら菊名駅から歩けと言われたことがあるんですよね」と言っていた。確かに、ひと駅だけのために乗り換えるくらいなら歩いた方が早いというのもわからないではない。
だが、ご覧の通り菊名駅周辺はくねくねした道ばかりで迷いやすい。地理に自信を持たない向きは、菊名駅から歩いてアリーナは避けた方がいいですよ、ということを最後に申し添えておきたい。
写真/鼠入 昌史
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。