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東急線“ナゾの乗換駅”「菊名」には何がある?

2021/11/22
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「菊名」には何がある?

 菊名駅が開業したのは1926年2月14日。当時、東京横浜電鉄と名乗っていた東急東横線が開通したのと同時の開業であった。横浜線は1908年に開通済みだったが菊名に駅はなく、東横線が開通してから乗り換えの駅として1926年9月1日に開業(一時期東横線と横浜線の間に連絡線が設けられていたこともある)。以来、95年にわたって東横線と横浜線の乗り換え駅であり続けている。

 

 といっても、新幹線開通まではとりたてて東横線と横浜線の乗り換えニーズは多くないわけで、1964年に新幹線が開通して新横浜駅が開業してから菊名駅が本領を発揮してきた、ということになる。

 こうした歴史を振り返ると、菊名駅はまさしく“乗り換え”ということを最大の役割としてきた駅といっていい。駅の外に出たことがない人が多いんじゃないですか、というのはこういった歴史的経緯からもごく自然なことなのだ。

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まず東口に出てみよう→「なんだこの行列は」

 さて、さっそく乗り換え駅の外に出てみよう。東横線がおおむね南北に、横浜線が東西に通っているから十字に鉄路が交差している菊名駅。だからちょっと複雑なのだが、出入り口は東口と西口の2か所に設けられている。

 

 まず東横線の改札から近い東口に出る。橋上駅の階段を降りていくと、なぜか階段の真ん中に行列ができている。なんだこの行列は。誰か芸能人の出待ちか何かをしているのか。それか行列のできるラーメン屋などが駅の近くにあって、路上で待つべからずということでそうなっているのか。

 疑問を抱きながらとぼとぼ階段を降りたらすぐに答えがわかった。菊名駅東口の駅前には広場のようなものはなく、すぐに狭い道に出る。その狭い道には飲食店やら何やらがひしめいていて、そこにバスも乗り入れてくる。狭い道にバスを待つ客が並んでいたらそれこそ事故になりかねない。そこでバス待ちの客は階段に並ぶということになっているのだろう。暗黙のルールというか、初めてやってきた人は間違えてしまいそうだ。

 
 

 初めてきた人を戸惑わせるのはこのバスの行列だけではない。路地……とまではいわないけれど狭い道から駅の周りをうろうろしてみたが、道がだいたいカーブしていて線路に沿っていたり垂直だったりするわけではないので、気をつけていないと自分がどこにいるのかを見失う。つまり迷いやすいよ、ということだ。