昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/12/03

サッカー、有観客開催実現までの舞台裏

〈2021年7月、村井知事は宮城スタジアムで開催される五輪サッカー競技について有観客で行う方針を発表。コロナ対策で共闘する郡和子・仙台市長や医療界からの反対意見もあったが実現させた。〉

宮城スタジアムで有観客で行われたサッカー競技 ©️getty

――反対は凄かったかと思いますが、決行しましたね。

村井 1都3県以外の地方開催の競技では、最初はみんな有観客を予定していましたが、結果的に北海道も福島も無観客となりまして。そのときにすぐに橋本さんから電話がかかってきました。「福島県も無観客になったけど、村井さんはどうお考えですか?」と。私は「宮城県はプロ野球も有観客でやっているし、五輪に出る日本選手の強化試合も有観客でやっている。サッカーもプロの試合は有観客で開催していますし、五輪だけダメだというのもおかしいので、私は有観客でやるつもりです」と伝えました。そうしたら橋本さんは「ありがとうございます」と。

――「ありがとうございます」ですか。橋本さんも実は有観客にしたかったんですかね。

村井 したかったというより、橋本さんは元アスリートで実際に観客の前で競技していますから。やはり観客がいるかどうかの違いを、我々じゃわからないレベルで知っているんだろうなと。いずれにしても橋本さんが応援してくれたからスムーズに進みました。

「批判は当時もいまもあります」

――決定権を持つ組織委の会長が、他の地方の無観客判断を認める一方で、有観客を応援するというのも変な話とは思いますが。村井知事はどうしてそこまで有観客にこだわったのですか。

村井 それは「復興五輪」だからです。海外から来てくれた選手や関係者の皆さんに、少しでも我々の気持ちを伝えたいというのが根底にあります。結果的には感染者も出ず、ボランティアも地元の皆さんもとても喜んでくれたのでよかったです。

――リスクはあったわけですよね。

村井 もちろんリスクに対する批判は当時も今もあります。10月末に行われた知事選挙の対立候補は医師だったのですが、あのときの私の判断への憤りが出馬の動機だとおっしゃっていました。

――反論があっても決断して実行すべきだと思いますか。

村井 辛いんですよ。実際、失敗したらコロナがまた広がる、人命に関わる問題になると本当にかなり悩みましたね。反対派の意見ももっともだと思います。県庁の職員もみんな不安そうな目をしていましたし。

――孤独ですね。

村井 リーダーは孤独です。全部私の責任ですから。

z