「現在、20人のプロゴルファーが連名で、会長に辞任を要求するための臨時の社員総会を開くよう迫っています。しかし、会長は応じようとしません」

 そう憤るのは日本プロゴルフ協会(PGA)の幹部だ。

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問題視されていた「協会の私物化」

 PGA内部で解任請求されているのは、倉本昌弘会長(66)ら理事3名。この“内紛劇”の火種となったのは、2017年からPGAが始めたIT事業にまつわるトラブルである。

“ポパイ”の愛称で親しまれている倉本昌弘

「組織のIT化を目指すPGAは、アマゴルファーのレッスン予約や決済をウェブ上で行うシステム開発を進めていました。ところが、その事業を副会長の家族が経営する会社に発注していたため、『協会の私物化だ』と昨年から問題視されていた。さらにはその会社が廃業してしまったため、システム開発自体を断念することになったのです」(同前)

会長ら理事3人に解任要求

「週刊文春」は今年4月、内部資料を基に一連のトラブルの内容を報じた。現在、PGAでは弁護士を入れた第三者による調査を進めている。

「結局、システム開発の頓挫により、約2200万円もの巨額損失を出していたことが分かりました。文春の報道後、副会長は自ら職を辞しましたが、理事としては名を連ねたまま。PGAは公益社団法人なので税制面でも優遇されており、経営には高い透明性が求められる。今年9月には内閣府の公益認定等委員会から、IT事業の取引について疑義が生じたとして、事情を報告するよう要求がありました」(協会関係者)

解任を求めるための「社員総会招集請求書」

 PGAは14年にも、元理事らが暴力団幹部と交際していたことが問題になり、公益認定等委員会から「勧告」を受けている。

 今回の事件を放置すると、公益認定が取り消される可能性もあると危惧した協会の理事や代議員は、10月15日に行動を起こす。倉本会長、元副会長ら理事3人に対し、利益供与問題の説明不足や監督責任を問い、理事解任を求めたのだ。