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2人分の幅を1人で使うという贅沢さ

 2号車も普通車指定席だけど、女性専用席として販売する。普通座席とクシェットがあり、インテリアは暖色系でまとめられているため、車内に入ればすぐ女性車両とわかる。普通席は通路を挟んで列をずらし、すこしだけプライバシーに配慮した。フリースペースは狭いけれど、代わりに化粧台を備えたブースが2つある。

 6両編成で1号車はグリーン車ファーストシート。幅広の座席は1人用。つまり、一般の特急なら2人分の幅を1人で使うという贅沢さ。夜行列車として運行する場合は向かい合わせの2座席を1人で使う。なぜなら、両側の座席の背もたれを手前に倒すとひとり分のベッドができるから。

普通座席もゆったり。女性専用車は交互配列

 そして私の席もここ。高額な席で恐縮だけど、確実に相席無しでくつろげる席はここと6号車の1人用個室だけ。人気のある列車だけに申し込みは抽選制となっていて、1人用個室は競争率が高そうだと思い、ファーストシートを希望したら当選した。もっとも、今回のツアーはソーシャルディスタンスの配慮で定員を減らしたそうで、2人掛け普通席も1人で使えたようだった。

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1号車ファーストシート、2つの席を夜行モードは1人占め

納得いかないところが2つ

 ひととおり見聞を終えて、ファーストシートに落ち着いた。しばらくは座席モードで過ごそう。下戸なのでジュースでひとり乾杯。列車は滑るように動き出し、屋根付きの駅から夜空の下へ。靴を脱ぎ、向かいの席へ足を伸ばす。届かない。短足(泣)。スリッパを持ってくれば良かった。あと、部屋着のスウェットパンツ。ベルト付きのズボンではくつろげないし、完全個室ではなくカーテンだから、パンツ一丁というわけにもいかない。

長い夜に備えよう

 そこまでは我慢できるとして、納得いかないところが2つ。1つは荷掛フックがないこと。普通席にもあるフックがないから、上着を掛ける場所がない。ちょっとした小物を入れたバッグを掛けたい。コンビニ袋を再利用してゴミ用として吊しておきたい。パイプ製の荷棚はあるから、これから乗る人は100円ショップにある「S字フック」を持参しよう。

 もうひとつは、空調音が意外とうるさい。なにしろ満員電車に対応した強力な空調装置を積んでいる。でも夜行で使うには無理があった。やかましくて寝付きにくいし、せっかくの観光ガイド放送も聞き取りにくい。客室改造におカネをかけたついでに、もうすこし工夫できなかったか。音が気になる人は耳栓も必要だろう。