――惰性やマンネリで語られがちな結婚とは真逆の考え方ですね。
有生 それこそ、子作りや式みたいな大きなイベントでなくても日々、変化がありますよね。知り合いの夫婦は、交際中は彼が亭主関白気味だったんですけど、長年の結婚生活を経て、今では率先して夫のほうがトイレ掃除をしてて。
――それはたしかに大きな「変化」ですね。
有生 そのご夫婦の場合は妻が時間をかけて教育したらしいです(笑)。夫婦ってそうやって互いに関係性を「育てて」いるんですよね。同じような日々に見えても揺らいだり、進化していったりしているんだと思います。
あとそれとは別に、仲のいい夫婦でも維持するのが難しいのが「ときめき」の部分なのかなって。
「生活のパートナー」と「ときめきたい気持ち」
――2巻の中では恋愛と結婚の違いや、セックスの有無をもって夫婦関係を語れるか、という命題に明葉がぶち当たっていました。
有生 漫画にも描きましたが、夫婦を含めたすべての人間関係って、「主張と妥協」を繰り返して作られていると思っていて。そうして他人との暮らしを築いていけるようになると生活のパートナーとして足並みが揃ってきて、たとえば一緒に子育てを乗り切っていくような、真の相棒になっていくんだろうなと、周りを見て感じます。
その一方で、ときめきたい気持ちは別なんだ、という話もよくあって。
――家事・育児を一緒にできる相手は最高だけど、そうするとバディ感や生活感が増して、相手に対するときめきが減っていく、と。
有生 でも現実世界で相手を見つけるのはNGだから、推し活の方に流れていったり、身近なお店の店員さんにドキドキしたりして、ときめきを補充するといいますか。
「今って結婚や子育て以外にも楽しいことがたくさんあって…」
――推し活、楽しそうですよね。私は30代後半なのですが、周囲は未婚・既婚問わず、BTSを楽しんでいる人が多いです。
有生 今って結婚や子育て以外にも楽しいことがたくさんあって、そこを通過しなくても豊かな人生が送れるよなーってめちゃくちゃ思います。だから離婚率が高いのも理解できますし、結婚に頼らずともその他の選択肢が持てて楽しく生きられるならそれでOKだよね、って思います。