――夫人と歌舞伎を見る会があるんですね。その会は何人くらいいたのでしょうか。
加藤 10人ちょっとでした。今回は絶対お近づきになれると思って、家で着物を着付けしてもらって、一人で電車で行きました。
歌舞伎座ではお話しできなかったんですけど、そのあとお茶会があって、そこで「口笛奏者をしている加藤万里奈と申します! デヴィ夫人が好きな理由は……」と夫人の好きな点を永遠に話しました(笑)。
そしたら「あら、あなた、私パーティー毎回開いてるから、口笛ちょっとそこで吹いてくれないかしら。私の携帯番号これだから、こちらに電話して」と電話番号もいただいたんです。後から聞いた話では、「とにかくうるさい子だわ」という印象があったみたいで、夫人の記憶には強く残ったみたいです(笑)。
口笛の魅力がもっと多くの皆様に伝わりますように!!✨#口笛 pic.twitter.com/KhBZMtY7cs
— 口笛奏者加藤 万里奈 (@marinaumauma) November 1, 2018
その時は夢が叶った瞬間で、すごく嬉しかったです。でも電話番号を渡されたはいいものの、こちらから電話なんてできないじゃないですか(笑)。「あなた、どちら?」とか言われたら怖いし、何時にかけていいのかわからないし……。
誕生日パーティーがきっかけで一緒に食事をする仲に進展
ずっと電話をかけられずにいたら、向こうの事務所の方が電話してきてくれて。「今度夫人の誕生日パーティーを開くから、よかったら」と。それがきっかけで、夫人からご連絡いただくようになって、いろんな場面でご一緒させていただくことが増えました。高校の授業終わりに夫人から電話が来たりもしました(笑)。
――なんて電話がくるんですか。
加藤 夫人から「あーた今どこにいるの?」って電話が来て、「今、授業終わったんです」というと、「じゃあ今から銀座来れる?」って(笑)。もちろん「はい! 行かせていただきます」と即答しました(笑)。家に帰って、急いで着替えて、銀座に向かいました。
――水戸からだと、特急でも1時間半ぐらいかかりますよね。
加藤 ドアトゥードアで2時間ぐらいですかね。母も、「行っておいで。よかった、よかった」って。大人に囲まれて、高校生が銀座でご飯食べている。今考えるとスーパー高校生だったなって思いますね。
――その場所には、他にも著名な方がいらしたんですか。
加藤 夫人のおかげで多くの著名な方にお会いすることができました。神田うのさんとか、美川憲一さん、あとバイオリン演奏家の川井郁子さんにもお会いして、目の前で演奏させていただきました。小柳ルミ子さんの前では、『瀬戸の花嫁』をやらせていただけたんです。
――すごい……。でもそれもこれも全て、加藤さんの行動力が大きいですよね。
加藤 そうですね。家族の理解があったので、それも大きいです。母親が「そんなの絶対行っちゃだめ!」と言ってたら、こんなにたくさんの方と会うこともなかったので。周りの環境にとても感謝しています。
高校の友達も、徐々に私の行動に気づいて、「あいつ最近なんかちょっと東京に行き始めたぞ」とか、「東京に毎週行ってるのおかしいな」とざわざわしていました(笑)。だんだん夫人と会っていることはバレていくんですけど。
写真=橋本篤/文藝春秋
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デビュー曲『名前の無い駅』
加藤万里奈:口笛奏者 歌手 タレント
中学在学中にアメリカで開催された世界口笛大会のティーン部門女子部で優勝。
2014年には芸術文化功労賞を受賞。
2018年からは女優としての活動も開始。
口笛だけではなく、バイオリン、乗馬など多岐に渡り活動。
水戸市の「魅力宣伝部長」に就任。
2019年、日本人で初めてアメリカニューヨーク市のカーネギーホールに於いて、口笛を演奏。
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