――友だちやお母様に褒められた経験が、口笛を上達させるきっかけになったんですね。
加藤 親に褒められたことで、認められたという感覚がありました。すぐに目指し始めた世界大会も、たまたま40回目という節目だったので、これはいけるんじゃないかと根拠のない自信もあって(笑)。母も独学ながら、ひたすら練習に付き合ってくれました。
――お母様の行動力がすごいですよね。
加藤 私の家は、誰も行ったことのない国に行って自分を磨いたり、色んな新しいことにチャレンジしなさいという教育方針なんです。私は、元々勉強が得意ではなかったので、母は勉強以外で自信が持てるものを作ってあげようと、合唱団やバイオリンなどに通わせてくれましたね。
デヴィ夫人に会えたら人生変わるんじゃないかと思った
――口笛に出会う前は、何か夢中になるものがあったのでしょうか。
加藤 小学校5年生の時にモンゴルに1人で行ったことがあって、現地で1週間、馬に乗って生活をしていたんです。それまで馬に乗ったことがなかったので、馬の乗り方から、馬とはどういう動物なのかをモンゴル人に教わりました。
馬と生活していくうちに、馬のことが大好きになってしまって。日本に帰ってきてからも、朝から晩まで馬が頭から離れなかったんです。その時から騎手になりたいと思うようになりました。
――ジョッキーですか。
加藤 女性ジョッキーになりたくて、競馬学校に見学に行ったりしたんですけど、どうしても体重や身長の関係で難しくて。それでだんだん諦めましたね。今も趣味でやってます。12年ぐらいになりますかね、乗馬を続けて。
――それから口笛に出会い、7ヶ月後、見事優勝されたんですよね。
加藤 優勝しないと日本に帰れないなと思っていたので、嬉しいというよりは、ホッとした部分が大きかったです。母にもたくさん練習に付き合ってもらったし、こんなにうまいんだから、優勝して当たり前! という空気感もあって。大会前はかなり緊張していました。でも優勝してから人生が180度変わりましたね。
――14歳で世界大会優勝ですもんね。しかも初出場で。
加藤 私の中学校にブワーっと記者の方たちが集まって、いろんなメディアに取り上げられたり、演奏してくださいと依頼されるようになりました。高校と大学は、口笛の一芸一能入試で入学することができましたし。将来は、口笛で生きていきたいと強く思うようになりましたね。
優勝してからは、普段会えない方にお会いする機会が増えて、環境も変わって、そんな時にデヴィ夫人に会えたら、人生変わるんじゃないかと思ったんです。
――ここでデヴィ夫人が出てくるんですね。
加藤 中学校1年生の時にTVで拝見してからずっと好きで、いつか会いたいと思っていました。