数億円の年俸を稼ぎ、華やかなスポットライトを浴びる選手たちがひしめくプロ野球の世界。その一方で、この時期になると戦力外通告を受け現役生活に終止符を打ち、次のステージに進まざるを得ない選手もいる。今日8日(水)には12球団合同トライアウトも行われるが、そこからプロの舞台へ戻れる選手は決して多くはない。
元ヤクルトスワローズの久古健太郎さんもそんな経験をしたひとりだ。
左の中継ぎ投手として現役生活8年間で通算228試合に登板。2015年にはチームのリーグ優勝にも貢献した。2018年10月に戦力外通告を受けて引退すると、その後は東大生にも志望先として人気のコンサル会社に入社した。「プロ野球選手→コンサルタント」という異例の経歴を送る久古さんが「スポーツ選手のセカンドキャリア」について綴ってくれた。
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引退とともに「プロ後」のキャリアをはじめる選手たち
プロ野球ではシーズン終盤にかけ、優勝争いやタイトル争いといったスポットライトを浴びる選手たちだけでなく、引退や戦力外通告といった形でユニフォームを脱ぐ選手たちの話題も目にするようになる。
今年も松坂大輔投手や斎藤佑樹投手、亀井善行選手など有名選手の引退がテレビやネットニュースで数多く報道された。
松坂投手や亀井選手のように、多くの有名選手は引退後、指導者や解説者といったキャリアを歩むことが多い。だが、そんな“王道”を歩める選手は全体の中のごくわずかだ。その他の多くのプロ野球選手たちは様々な形で次のキャリアをスタートすることになる。
プロ野球選手は、狭き門をいくつもくぐり抜けてプロの舞台にたどり着いている。そこでは目標から逆算して考え行動する力や、強靭な精神力を身につけたはずだ。その力を活かせば、次のキャリアでも活躍できるはず…そんな風に考える人も多い。
しかし、実情を見ると、自身のセカンドキャリアについて悩み、葛藤しているケースを目にすることがよくある。私の知り合いでも、引退後に始めた仕事が上手くいかず、精神的な病に陥ったり、そもそもプロ生活で燃え尽きてしまい、新たな目標を見つけられない選手がいる。
ではなぜ、プロ野球選手はセカンドキャリアで悩み、苦労するケースが起きてしまうのだろうか。その原因について、自身の経験を交えて考えてみたい。