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 スポーツの伸び代はケガや年齢による限界があるが、勉強や社会経験は積み重ねであり、努力次第でいくらでも自分の可能性を広げられる。「できること」を増やせば選択肢は増える。また、「できること」を増やす過程の中で自分でも気づいていなかった「得意」なことに出会うことだってある。

 野球一筋で生きてきたとはいえ、野球以外にも自分の「得意」があるはずだ。自分の可能性はどこに秘められているかわからないし、努力次第で広げることだって出来る。その可能性に気付くことでキャリアの選択肢の数が多くなっていくと考えている。

引退後のキャリアについて考え始めたきっかけ

 私は引退した2018年のシーズン途中から、戦力外を意識するようになっていた。

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 そして同じ頃から自分の引退後のキャリアに関して真剣に考えはじめた。その時、ふと自分が「社会人として何ができるのか」と考えてみた。だが、頭に浮かんだものは何もなかった。そもそも、これまでの人生を振り返った時、野球以外のことなんて考えたこともなかったのだ。ただ、小学校1年生から32歳までの25年間、一生懸命野球をやってきた時間は、決して無駄ではなかったはずだ。その経験は必ず活かすことが出来るはずだと信じていた。

 キャリアに関する書籍を読んだり、転職エージェントに登録したり…「自分がどのような仕事に就けそうか」といったことを調べはじめた。前述のようにチーム内に相談できる人間は多くなかったが、元プロ野球選手で引退後、ファンドに就職した先輩がおり、その方に相談できたことが大きな機会となった。その先輩はいわゆる「一般的な就職活動」をしていたため、全体の流れや準備の仕方などがイメージしやすかったのだ。

久古さんが就職活動時に実際に書いた「職務経歴書」の一部

 そして、就職活動中の大学生のように“自己分析”も行った。

 自己分析を行ってみて、一番収穫だったと感じたのは、自分の「喜びの源泉」を見つけることが出来たことだ。「野球を通じて、何に一番喜びを感じるのか」をノートに書き出し、それに対して「なぜ喜びを感じるのか」という問いを何度も繰り返した。その結果、自分の喜びの中で大きなウエイトを占めているのは「今まで出来なかったことが出来るようになった瞬間」ということに行き着いた。

 それが見えたことで「自分自身が成長できる環境で仕事がしたい」という考えに至り、次のキャリアを選択していくうえでの指針を作ることができたように思う。そしてそんな指針をもとに将来像について考えた結果、コンサルティング会社を第一志望とした。