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川口市プラウドタワーと晴海フラッグの比較で盛り上がるSNS

 晴海フラッグ関連のツイッターを読むとその像はさらに明確になる。ツイートする人たちがマウントを取り合う姿も滑稽だ。そして彼らの話題は埼玉県川口市で販売中のプラウドタワーと晴海フラッグの比較で忙しい。専門家の私からみれば、坪単価が近いというだけで、川口と晴海はそもそも立地も、コンセプトも全く違う街。住宅としての住み心地などを比較するうえでは、そもそも比較対象にはならないはずのものだ。

 ところが、彼らの話題は「どっちが値上がりするか」に夢中だ。これでは住居と投資が完全にごっちゃになっている。

 晴海フラッグの申し込みについて、実は、その多くが不動産業者による買い占めだという説がある。マーケット内で割安といえる晴海フラッグの部屋を仕入れて、分譲終了後に中古マーケットで高く売り抜けようというものだ。販売概要などを覗いた限りでは、特に業者などによる購入を禁止する条項は見当たらない。また個人でもとりあえず買っておいて転売して儲けようと考えてもおかしくない。ツイッターなどでも、物件に対する厳しい指摘やコメントが出たりすると、ものすごい勢いで反論の嵐が来ている様子などを見ると、購入しようとしている業者が、販売状況を煽ったり、ネガティブ情報を葬ろうとしているかのようにも見える。

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©️iStock.com

転売目的のペーパーカンパニーも

 通常、自治体関係や国関係の土地を民間に卸す場合には、長期にわたる転売を禁止する、サブリースすることを禁止するなどの条件が付く場合が多い。かつてはUR(都市再生機構)の物件などはこうした制限条項がよく付されていた。だが今回はどうもそうした制約は見当たらない。

 それにつけても思い出されるのが、先日ある湾岸タワーマンションに関する相談を受けた時の話だ。そのマンションはマーケットでも売れ行き好調だったが、実は角部屋や高額帯の部屋の多くをある国内法人が新築分譲時に買い占めていて、その法人が破綻してしまい問題となっているというものだった。謄本をとってみるとこの法人はペーパーカンパニーで、謄本の乙区欄をみると、担保権者は香港の不動産会社になっている。香港の不動産会社がペーパーカンパニーを使って、現地人用に転売目的で大量に買い占めていたのだった。