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晴海フラッグが「値上がりしてほしい」人たち
晴海フラッグの実態はわからないが、たしかにこの物件を地方の富裕層が東京の中央区アドレスを狙って買う、相続対策で買うことは見込まれる。パワーカップルの一部が将来の値上がり期待半分に買う。これもあるだろう。だが、この目的だけで買いが殺到する物件とも思われない。
他方、転売目的に国内業者が群がるサマは容易に想像できる。バックにはアジアなどの業者がついて、順次転売していくならばこれは良い買い物かもしれない。最上階の部屋が111倍などという平成バブル時代を彷彿とさせる倍率になるのも頷けるというものだ。外国人投資家にとっては、現地から最寄り駅までの距離なんてあまり関心はない。通勤なんてそもそも日本で行わない人たちだからだ。
私が海外の投資家のお金をバックに不動産投資を行っていた時、大阪の商業施設をかなりの高値で取得したことがある。当時で利回りが4.2%。東京ならばよいレートだが、大阪なら4.8%程度が相場と言われた時代だ。おそるおそる投資家に切り出したところ、彼はニコリとして「おう、ワンダフル。大型商業施設が4.2%なんかで買えるのはラッキーだね、グレート!」と喜んでくれ面食らったことがある。実は彼は東京と大阪の区別すらよくついていなかったのだ。
どうやら晴海フラッグは、引き続き「値上がりしてほしい症候群」におぼれた多くの人たちの欲望に弄ばれていきそうだ。販売担当もニンマリとしていることだろう。