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自分の値打ちを下げる「最低のセリフ」

 逆にケチなのはねぇ……。よくいるじゃない、「俺はお前のために、こんなに金を使ったんだ」とか付き合ってる女に言う男、アレは最低だよ。お金も生きない。自分の値打ちも下げる。粋なお金の使い方は、お金が生きるような使い方のこと。間違っても、「あいつにいくら使った」とか言っちゃ、野暮だよ。

 最近だと、振袖さん(浅草おかみさん会が中心となって設立された株式会社浅草振袖に所属する女性たち。社員として採用され、踊りの稽古、社交マナーなどの研修を受け、宴会からイベントや撮影会等、さまざまな催事に派遣される。白塗りに振袖姿、桃割れの日本髪で浅草の町に華やぎを与えている)のお座敷なんかで、ご祝儀の切り方がわからないお客さんがいっぱいいる。

©iStock.com iStock

 ご祝儀の切り方って、結局は相手が喜ぶ使い方だからさ、踊りが終わった時とか舞台が終わってひと段落ついた時とか、そういうタイミングで出すとかね。でも、なかにはいるのよ、ご祝儀を出すのが失礼と思っちゃう真面目な人。

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「出したかったけど、出し方がわかんない」

 あんたさあ、ご祝儀だよ。相手は振袖さんだけじゃない。言っちゃなんだけど、水商売だよ。お客さんに気持ちよくお金を払ってもらうプロなんだからさ。お金持ってる人に気持ちよくお金を使わせることは親切なのよ。それに、お金もらって怒る人なんて、めったにいないって。

ご祝儀にまで領収書を切る人も

 もっと凄いのは、ご祝儀まで会社の領収書切る人。そういう人は、お金使うからありがたいけど、いかがなものよね。ご祝儀ぐらい自分で出せばって。

 昔、文明堂の部長がこんなことを言ってた。

「自分は社用でいっぱいお金使ってた。でも、領収書もらってる以上、部下は感謝しない。赤ちょうちんでもいいから、自分でごちそうして、『今日はいいから』って言う上司の姿を部下は見てる。『俺たちのために自分で払ってくれてんだ、部長が』。そういうところで部下は上司を判断する」

 昔から話は同じよ。部下に対して領収書のない金を払う。それが部下を惹きつけるコツ。立場はどうあれ、人の金を使っているうちは、自分の身にならないってことね。