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「お前らマジで見とけよ! 俺が伝説作るんだからな!」 なぜか“2階に上がれない”廃病院でヤンキー達がみた戦慄の光景

「お前らマジで見とけよ! 俺が伝説作るんだからな!」 なぜか“2階に上がれない”廃病院でヤンキー達がみた戦慄の光景

伝説の男 #2

2022/01/05
note

彼らが撮っていたものは

 カッシィー。

「…っべーな、マジ伝説だろこれ…」

「半端ないっすね… いや、マジスゴすぎますよ…」

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 カッシィー。

「本物の伝説だわ、これは…」

 カッシィー。

「お前らこれ絶対語り継いでいけよ」

 カッシィー、カッシィー。

 2階に上がっていったメンバーがそれぞれ独り言を漏らすようにブツブツと喋り、歩き回っている。異常なのは百も承知だが、彼にはどうしてもそう聞こえた。

カッシィー、カッシィー。

 そして、彼らは何かを撮っている。

 それに気づいたとき、この状況に一気に背筋が凍り、彼は病室まで駆け出した。

「みんなマジ何やってんです――」

 病室の中で見たものは、想像よりはるかに常軌を逸していた。

 Tが首を吊っていたのだ。

©iStock.com

 2階に上がったメンバーは歩いていた足を止め、携帯カメラを掲げたままの姿勢で、駆け込んできた後輩の方をボーッと見つめていた。

カッシィー。

「な……なにやってるんすかァーーーー!!」

 後輩の絶叫で、一同はフッと我に返った。

「え、いや、お前こそ何してんのここ――」

「うわ、うわぁああーー!」

「ちょっと、T、おい!!」

「何、やってんだお前!! そこの椅子持ってこい!!」

「俺ら抱えるから早くそれはずせ!!」

死後40分以上は経っていた……

 Tの首に巻かれたベルトを外し、ぐったりと横たわるその体を抱えながら、彼の同期たちは呆然と涙を流していたそうだ。

 慌てた後輩たちも涙ながらに救急車を呼び、数十分後には隊員たちが駆けつけた。

 外に出るように言われ、ボーッとしたまま廃病院の外で待っていると、次々と警察のパトカーまでやってきた。

 そして、Tの死が一同に伝えられた。死後40分以上は経っており、どうやら同期の2人が2階に上がっていった時点で亡くなっていたようだった。

 その後、一同は当然警察に問い詰められたが、2階に上がって後輩に声をかけられるまでの記憶がないこと、そもそも彼を殺める動機がまるでないことなどが明らかになり、結局Tの死は突発的な自殺という形に落ち着いた。

 しばらくして、その病院は何事もなかったかのように取り壊され、更地になった。

 だが、その地元の不良たちの一部には、2階に上がれない廃病院があったこと、そして、Tの怪死事件が今も伝わっているそうである。

 Tは、本当に“伝説”になってしまったのだ。

(文=TND幽介〈A4studio〉)

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