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「警察調書でヤクザを示す言葉は…」 ヤクザ犯罪のスペシャリスト・警視庁組織犯罪対策四課が「マル暴」と呼ばれる“納得の理由”

元マル暴・櫻井裕一氏インタビュー#1

2021/12/26

genre : ニュース, 社会

note

最近のヤクザが企業経営者に近づく手口は…?

櫻井 実はヤクザが直接、企業のトップに近づくことはありません。今は企業からヤクザは排除されていますから。だから、まずは「グレーゾーン」の人間が接近するんです。ヤクザではないが、ヤクザの共生者・周辺者みたいな人物ですね。

 そこで「ヤクザではないのだから…」と関係を持ってしまうと、抜き差しならない関係になってしまいます。そこで「私の知り合いが…」とヤクザの幹部を紹介されても断れなくなってしまう。そのようにヤクザは近づいてくるんです。

©iStock.com

――「グレーゾーン」の人物たちは、企業経営者のスキャンダル以外では、どのように接近してくるのでしょうか?

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櫻井 スキャンダルばかりでなく、「経営を立て直しましょう」とかコンサルタントのように接近してくる場合もあり、様々です。何とか近づき、後からヤクザが出てくる。だから、グレーゾーンの怪しい人間が来た時は、すぐに対応するのではなく、一呼吸おいて大丈夫かどうかを考えてもらいたいです。本当に大丈夫だとなればよいのですが、危険な場合は手を切らないと。危険を察知した段階で相談できるところに聞いてみるべきです。

――櫻井さんは退官後に「STeam Research & Consulting」というコンサルタント会社を立ち上げたそうですね。どのような仕事なのでしょうか?

櫻井 警察時代と同じく、まずは困っている人を助けたい。企業などで問題があっても、いきなり警察に行くのは敷居が高いでしょう。弁護士活動ではありませんが、どんな問題があれば刑事事件になるのかなどのアドバイスはできますし、警察につなげることも出来ます。経験を活かしてやって行きたいと思います。

「#1」に続き、「#2」ではマル暴捜査官とはどのような活動をしてきたのか、どのような存在なのかについて語ってもらった。

櫻井裕一/1957年、東京生まれ。1976年、警視庁入庁。組織犯罪対策第四課、渋谷署組対課長代理、新宿署組対課長などを経て2016年から組対四課管理官。2018年退官。

「警察調書でヤクザを示す言葉は…」 ヤクザ犯罪のスペシャリスト・警視庁組織犯罪対策四課が「マル暴」と呼ばれる“納得の理由”

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