いじめの「重大事態」調査をしないのは違法――。
2015年4月から埼玉県川口市立中学校に通っていた元男子生徒の加藤健太さん(仮名・19)が在学中に不登校になったのは、サッカー部のグループLINE外しや部員からの暴行、嫌がらせ、部活顧問による体罰、そして学校や市教委の対応が不適切だったとして、市に対して550万円の損害賠償を求めている訴訟で、12月15日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)は、部顧問による体罰と部内の孤立状態から不登校や自傷行為に及んだと認めた。さらに重大事態の調査をしないことは国家賠償法上、違法であるとして、市側に55万円の損害賠償を命じた。
7件のいじめとされた行為
判決によると、2015年4月、健太さんは中学入学とともにサッカー部に入部した。2年生以降、4回の不登校期間があった。1回目は16年5月9日から12日まで、同年9月14日から翌17年3月24日まで、17年11月2日から12月15日まで、18年1月24日から3月15日の卒業式まで。
17年1月10日、中学校は市教委を通じて市長に対して、健太さんのいじめ重大事態を報告した。市側は2月、いじめ問題調査委員会を設置。3月になって調査を開始した。18年3月14日の卒業式前日に「いじめ事案に関する報告書」をまとめた。以下が、いじめとされた行為の7件だ。
1、15年5月、健太さんのみが、サッカー部のグループLINEから外された。
2、16年3月、サッカー部の練習中、健太さんが同学年の部員に首を絞められた状態で倒された。
3、16年5月、部員の一人と健太さんが映画を見る約束をしていたが、断りもなく別の生徒と映画を見に行った。それを健太さんが指摘すると、周囲から責められた。
4、同月、健太さんの自宅で遊ぶことを断られた部員4人が、健太さんの彼女の自宅へ行き、周辺で騒いだ。
5、16年9月、カード販売店に行きたがっていた健太さんの目の前で、他の部員が、健太さん以外で行くことを約束した。
6、同月、LINEで健太さんが中傷されたり、健太さんの自宅の画像が投稿された。
7、同年1月ないし11月、LINEで健太さんがなりすましをされたり、からかい、誹謗中傷を受けた。