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「60歳を過ぎてヴェルサーチとかバリッと着ていたら、何かやってくれそうな気がするやろ」《野村克也をしのぶ会》で新庄剛志ビッグボスが“明るいグレー”のジャケットを着た“真意”

2021/12/23

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, スポーツ, 社会, 読書

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 そこには、「野球人である前に、一社会人としてどう人に接するべきか」という教えと、「プロ野球選手を引退した後も社会で生きていけるように、マスコミを味方につけろ。自分で発信力を磨け」という野村の思いが、しっかり刻み込まれている。

©文藝春秋

 野村が口を酸っぱくして選手に言い続けた言葉がある。

【野球バカではダメ。野球人生なんてたかだか20年。それから先の人生の方が長い。だから野球人たる前に、社会人たれ】

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 ヤクルトの監督に就任して以降、春季キャンプで毎晩、野村のミーティングが行われた。「人としてどう生きるか」をテーマに、連日、ホワイトボードに書きながら熱弁をふるった。

【ユニホームを脱いでからが勝負だ】

写真:著者提供

 現在、野球解説者以外に、地元の大分・佐伯市で「かぼす特命大使」に任命されるなど地方の魅力を発信している川崎は、力を込めた。

「ほんと、その言葉を実感している。引退しないと分からないことばかり。仕事でもらえる金額も全然違う。プロ野球選手時代はちやほやされて『このままいくだろう』と思っていたけど、旬を過ぎたら腐る一方。熟してもおいしくいられるように努力しなければいけない。

 オレなりにどういう事業ができるのか、模索をしている最中。絶対、成功してやる。ノムさんの言葉を噛み締めながら、そういう気持ちでいるよ」

写真:著者提供

褒められたことなど、ない

 この2人に「最も覚えている野村の言葉、エピソードは何か?」と問いかけると、意外な答が返ってきた。いわゆる『野村の名言』ではなかった。

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