「ミニ牛丼とミニカレー丼」と注文したミニ・ミニの達人
自分はもともと、このミニどんぶり達に夢中だったわけではなかった。ところが、10年以上前のある日の午前11時過ぎに「瓢箪」でいつものように「かき揚げそば」と「いなり寿し」を食べていると、40代位のオフィスワーカーの男性が入ってきて、女将さんにいきなり「ミニ牛丼とミニカレー丼」と注文したのだ。どんぶりだけ頼むという発想が自分にはなかったのですごくびっくりして覗き込むと、その人はおもむろにしかも交互にミニどんぶりを食べ進んでいった。よく考えると「ミニ牛丼とミニカレー丼」でも460円とワンコイン以内で、相当の満足感もある。『ミニ・ミニの達人』とは恐れ入った。それ以来、ミニどんぶり達を頼むようになったというわけである。
女将さんに聞くと、「ミニ・ミニ」で注文するお客さんは今もいるという。「ミニ牛丼」と「ミニそぼろ丼」を注文する人も多いという。そして、この『ミニ・ミニの達人』にはさらなる上級者がいるという。『ミニ・ミニの上級者』は2つのミニ丼を大きなどんぶり1つにあいもりで注文するらしいのだ。「ミニ牛丼とミニカレー丼のあいがけでお願いします」というわけである。なんというツワモノだ。
午後3時頃には売り切れとなる
この「ミニどんぶり達」は11時過ぎ頃からメニューに登場し、午後3時頃には売り切れとなる。ごはんは大きな炊飯器で2回炊くのが限度なので、今の数以上は増やすことはできないと女将さんは言う。
坂上の六番町にあった昭和の老舗そば屋の名店「角屋」が閉店し、日テレ通りには麹町の「ゆで太郎」まで街そば屋も含めて全てなくなってしまった今、かつ丼や天丼、親子丼などには見向きもせず、「ミニどんぶり達」が並ぶ「瓢箪」は市ヶ谷ワーカーのサラメシに欠かせない存在となっているわけである。
写真=坂崎仁紀
瓢箪
東京都千代田区五番町4-2
営業時間 月~金 7:00~17:00
定休日 土日祝